39年ぶり「衆参ダブル選挙」は"政権交代のチャンス"、それでも立憲民主党が尻込みする悩ましい事情

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そうした状況も踏まえて、5月21日に実施された党首討論では、野田氏に続いて登壇した日本維新の会の前原誠司共同代表が、社会保障改革に関する維新と与党の協議停滞に強い不満を示し、「3党合意が守られなければ不信任に値する」とすごみを利かせた。さらに翌22日の会見で、「クビを取れるときに取りに行かなければ、取ることができない」と言い放った。

これに対して、野田氏は23日の会見で「ご高説を参考にさせていただく」などと苦笑交じりで交わした。国民民主党の玉木雄一郎代表はこれに先立つ20日の会見で、「(不信任案提出なら)厳しい態度で臨む」と賛成する考えを示した。

こうしたやり取りの背景には、今回の農林水産相更迭騒動で野党5党が江藤拓・前農水相の不信任案提出で一致したことによって勝負が決まったことがあるのは間違いない。だからこそ、野党内から内閣不信任案での“再現”を期待する声も上がる。

その一方で、不信任案提出を受けて石破首相が衆院解散に踏み切れば、衆参ダブル選になる可能性が大きい。これに対して、野党各党の選挙対策担当者はいずれも、ダブル選を前提とした選挙準備の遅れへの不安を隠さない。

とくに、野党第1党の立憲と第2党の維新は「ここにきての支持率低迷で、早期解散を回避したい雰囲気が支配的」(立憲民主党の選対幹部)とされ、「前原氏は前のめりすぎる」(同)との不満も漏れる。

野田氏「不信任勝負」の想定されるシナリオ

そもそも、不信任案が採決された場合、確実に可決となるか、なお不透明だ。

今年度予算に賛成した維新には、若手議員らから「賛成する必要はない」との声が相次ぐ。さらに不信任勝負をあおる玉木氏についても、立憲幹部は「言葉どおりには受け取るのは危険だ」と不信感を露わにする。

野党内の思惑の違いも目立ち始める中、終盤国会の最重要案件となる年金制度改革関連法案をめぐり、与党と立憲の修正協議が合意に向けて動き出したことも、不信任案見送りへの環境づくりとなりそうだ。

加えて、野田氏は以前からアメリカのトランプ関税を「国難」とみなし、「(衆院解散による)政治空白は、日米交渉での国益確保への障害となる」との認識を繰り返し示してきた。それだけに、今後の日米交渉が次期参院選と同時進行となれば、「当然、不信任案は出せない」ことになる。

しかも、その間の15日から17日までカナダ・カナナスキスで先進国首脳会議(G7サミット)が開催され、石破首相が出席するため、その間の不信任案提出もありえない。そこで、今後の想定される政治日程から野田氏が「不信任勝負」に出る可能性のある日付を探ってみると、次のような結果となる。

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