大阪万博でイタリアと日本の職人文化を比較。グラフィックデザイナー原研哉氏らが語った両国ものづくりの“共通点”そして“違い”とは

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「日本はどうかというと、(同じ小麦粉を)うどんやそうめんのようなヒモ状のインターフェースにして、これをだしの汁につけて食べているわけです。イタリアのリゾットはお米をスープで炊いて食べ、これが美味しくて日本人もまねをしてよさそうですが、それでも日本人は今でもお米を水で炊くことをやめない。

何を素晴らしいと思うか、という背景はそういうところにある。日本人は簡素で質素でも、ある部分でゴージャスに引けを取らない極みに到達できると考えているところがあります。歴史的にそうなんです。

ですから無印良品というのはゴージャスとかを目指すのではなくて、簡素であり続けることを目指すことでゴージャスに引け目を感じない何かを作り上げることを意識しています。これをミニマリズムと称する人がいるけれど、ミニマリズムとは少し違います。

18歳の人にも70歳の人にも無印良品が提供するのは同じ机。その代わりどんな使い方をしてもらっても構いません。(あらかじめ定められた機能を提供する)ファンクショナリズムとは違った考え方がオリジナリティとして認められているのではないか」

実際、無印良品はイタリアを含むヨーロッパでも人気が堅調で、昨年にはイタリアで5店舗目となる店舗を開いている。

イタリアと日本の職人文化の共通点

「メイド・イン・イタリアの日」はイタリア政府が2024年に定めた新しい国民の祝日で「イタリアのクリエイティビティと卓越性を称える」ことが目的だ。日付はレオナルド・ダ・ヴィンチの誕生日である4月15日。

2024年にはそれを祝うシンポジウムがローマで開かれたが、2回目の祝日となった今年は、同じシンポジウムがイタリアを飛び出して日本の大阪・関西万博イタリア館で開催された。

イタリア政府は、この万博会場に専任の大使を置くほど万博に力を入れ、パビリオンで連日のようにイタリアのさまざまな自治体や経済、宇宙開発などさまざまなトピックを日伊で話し合うイベントを開催している。

「イタリアと日本の職人文化には、創造性、職人技、イノベーションにおいて多くの共通点がある。両国がお互いの経験を教え合ってインスピレーションを与え合うことが重要」

そう語ったのはマルコ・グラネッリ氏。イタリアに150万社あると言われている中小・零細企業を束ねている団体コンファルティジャナート(Confartigianato)の会長だ。

マルコ・グラネッリ コンファルティジャナート
マルコ・グラネッリ氏。イタリアに150万社あると言われている中小・零細企業を束ねている団体コンファルティジャナート(Confartigianato)の会長(筆者撮影)
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