大阪万博でイタリアと日本の職人文化を比較。グラフィックデザイナー原研哉氏らが語った両国ものづくりの“共通点”そして“違い”とは
日伊の両国には「美の追求、調和、そして柔軟に革新する姿勢など、多くの共通点がある」ことを指摘。日本の自動車産業のエンジニアたちがより良くするために努力を惜しまない意欲を持って、イタリアを凌駕したと歴史を振り返った。
1980年代、日本車の品質が高くなった理由の一つに、国土がイタリアと同じくらいなのに人口が倍以上であるため、車を組み立てるスペースが限られており、その分、効率的な働き方をしていたことを挙げた。
また大きな金型1つでつくるイタリアと異なり、日本人は6つや7つの金型を使って、それを正確に配置することで技を磨き、品質も向上させていったのではないかと分析する。
いずれにしても両国は相互に学び合える部分が多くある、という。
日本人であり、イタリアで活躍をしたカーデザイナー、奥山清行氏は流暢なピエモンテなまりのイタリア語で「私はイタリア語は話せません。(イタリアの地方の)ピエモンテ語しかわかりません」と話して会場を沸かせた。
イタリアのデザインがカーデザイナーを志すきっかけとなったという奥山氏。「イタリアと日本のものづくりには職人技を『見て学ぶ』という共通点がある」と語るが、両国で一番違うのは「職人の社会的地位や価値」だと言う。イタリアのほうが圧倒的に高く評価されている、という。
「日本はイタリアから、職人技をグローバルブランドに発展させる方法や、優れた中小企業や文化を世界に広める方法を学ぶべきだ」と提言した。
また、イタリアで日々続けられている「議論の重要さ」にも言及。日本も議論を通じて学びを深める必要があると述べた。さらに日本のデザイン教育の現状にも触れ、世界レベルに達するにはイタリアなど海外での経験や多くの美しいものを見る機会が重要だという見解を示した。
日本とイタリアの食へのパッション
2つ目のパネルディスカッションでは、日本とイタリアの食に焦点が当たった。

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