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チョコレートも日本酒も熟成チーズも”あっという間”に完成!日本ハイドロパウテックが独自開発した「加水分解技術」の潜在力

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昔ながらのチョコレート製法では、カカオニブを専用の”臼”のような道具で3日間、滑らかになるまで練り続け、そこに砂糖を加えてチョコレート加工食品のベースとなるグランドチョコレートがやっと生まれる。

量産されているチョコレートの多くは、このような昔ながらの工程を踏襲しているわけではなく、さまざまな合理化が行われているものの、基本的な工程に大きな違いはない。チョコレートとは、そもそも生産性が低いものなのだ。

ところが、カカオ豆の発酵からチョコレートまで1日未満で作れる技術を持つのが日本ハイドロパウテックだ。しかし、チョコレートはパウダーテックにとっては入り口でしかない。

日本ハイドロパウテックの熊澤正純社長が狙っているのは「食品製造の常識を塗り替えること」であり、その構想は遠大だ。「チョコレートだけでなく、これまで発酵や醸造といった手法に頼っていた食品製造の工程を大幅に短縮し、安定した品質で狙いの特徴を備えた食品を生み出すことが可能だ」(熊澤社長)。

ミルク風味も植物から

シンガポールに2024年4月に開店したエニワンチョコの1号店は、いくつかのローカルガイドで5点満点中4.7点や4.8点という高評価を獲得。カカオ豆を伝統製法でチョコレートバーにするビーントゥーバーの高級チョコレートバーとほぼ同じ高価格ながら、顧客から上々の評価を得ている。

シンガポールに2024年4月に開店したエニワンチョコの1号店(写真:同社ブランドサイトより)

その一方で、チョコレートを生み出すための”長すぎる工程”を一気に短縮する新技術を導入している。

チョコレートの舌触りを高めるためには、カカオを平均粒径10ミクロン以下に微細化する必要がある。”3日3晩、特別な臼で練り続ける”伝統製法における工程も、同社の技術を用いれば、理想的な粒子にまでものの数分で微細化できるという。

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