偏差値の高い大学ほど「要約」をさせる理由 東大の入試では《要約力》が問われている

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

例えば、「Aという地域で砂漠化が進行している理由を答えなさい」という問題の解答を考えてみましょう。

・過放牧や薪炭材を作るための過剰伐採が行われており、またA地域の人口の爆発的な増加が発生していることから、その食物の需要に対応するための農地の拡大が必要で農地を切り拓くための森林破壊が行われているため。(100字)

これだと、何が何だかわかりませんよね。砂漠化が進行している理由が何なのか、結局何が原因なのかわからないですよね。

それに対して、この解答はどうでしょう。

・人口増加が発生し、その食物需要に対応するため、過放牧や薪炭材の過剰伐採・農地の拡大に伴う森林破壊が行われているから。(58字)

これならば、

A地域で人口が増加する
→その食物需要に対応する必要が出てくる
→今までよりも多くの家畜の放牧・薪炭材確保・農地拡大が行われている

……という3ステップがわかりやすくなりますよね。このように、構造的な整理を行うことによって、文章がわかりやすく整理できるようになるのです。

情報を選ぶ力と、構造化の力が大切

『なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか? 』(サンマーク出版)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

情報を選ぶ力と、そのために必要な構造化の力。この2つの能力が、要約力だと言えます。東大をはじめとする難関大学の入試問題は、「自分の頭の中をいかに整え、相手に伝わる形で“短く”届けられるか」という、知的な編集力と構造化の力を問うものだと言えます。

たしかに、この力があれば、読書をしても、必要な情報を読み解くことができ、誰かの話を聞いているときでも「その人が結局何を言いたいのか」がわかるようになると思います。

会議でも、プレゼンでも、論文でも、SNSでも、ビジネスの現場でも、結局「短く、わかりやすく、本質を伝える力」があれば、活躍できるのではないでしょうか。

「あなたは、自分の言いたいことを、30字で言えますか?」

この問いに「はい」と答えられる人こそ、これからの時代を切り拓く人材なのだと、東大は教えてくれているのかもしれませんね。

西岡 壱誠 ドラゴン桜2編集担当

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

にしおか いっせい / Issei Nishioka

1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。

そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。また、YouTubeチャンネル「スマホ学園」を運営、約1万人の登録者に勉強の楽しさを伝えている。

著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事