偏差値の高い大学ほど「要約」をさせる理由 東大の入試では《要約力》が問われている
英語でも同様の傾向があります。最近は、大学入試で英作文の問題が出題されることが増えてきました。この場合でも同様に、難易度の高い大学ほど、文字数の制限があることが多いです。
偏差値が高い大学:「これについて、あなたの意見を60words〜80wordsで述べなさい」
それほどでもない大学:「これについて、あなたの意見を述べなさい」
要するに、どの科目でも偏差値が高くなればなるほど、文字数の制限が加わるようになるということです。ただ知識を問うだけでなく、その知識を「短く」説明できるかどうかを問い、頭の中にあることを「要約して」相手に伝えられるかどうかというポイントを重視しているのです。
東大では「要約問題」が頻出
この最たる例が、東大です。英語では文字数制限がある要約問題が出題されますし、国語でも3〜4ページの文章を120字以内に要約することを求める問題が出題されます。社会でも、どの問題にも文字数の制限が課せられていて、言葉を絞るのに時間がかかってしまいます。
普通に考えると、長く文章を書くほうが大変なイメージがあると思います。読書感想文でも、「必ず原稿用紙2枚以上で書くこと!」というような下限が決められているイメージがありますよね。上限が決められていて「3枚以内に収めなさい」というような読書感想文の課題はあまり見たことがないですよね。それでも、大学受験では「○字以内」でまとめる力・つまり「削る力」が求められるわけです。これは一体どうしてなのでしょうか。
東大をはじめとする難関大学が文字数制限を課す理由は、単に「書く力」を見たいからではないと思います。本当に見たいのは、きっと、情報の選別と構造化ができるかどうか。もっと言えば、「たくさんの情報の中から、何を選び、何を捨てるか」という、思考の編集力だと考える事ができます。
東大の入試問題において、文字数制限がなかったとすると、おそらく答えは今の文字数制限の5〜10倍くらいの分量で説明をすることができてしまいます。
しかしあえて文字数制限を作ることで、その「伝えたい情報」の中から、出題者が求めている要点だけを拾い出し、不要なものを思い切って捨てる勇気が求められます。
つまり、「知っているか」ではなく、「知っている中から、必要な部分だけを選べるか」が問われているわけです。情報の選抜能力が問われているわけですね。
それに加えて、「構造化」も必要になります。情報を伝える順番を考え、ロジックを整理し、言葉を組み立てる必要があります。「思考を構造化する力」が必要になるわけです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら