知らないと損をする《学生アルバイトの年収の壁》2025年からの新制度の”課税のボーダーライン”をFPが徹底解説。壁は全部で4つある!

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「第3の壁」親の所得税負担が増える“150万円の壁”

次に、学生アルバイトを扶養する親の所得税負担の壁について考えていきましょう。

子育ての経済的な負担を軽減するため、18歳(高校卒業年齢の年度末)までは児童手当が支給されます。しかし、児童手当が終了した後も、子どもが大学や専門学校などに進学すれば親の負担は続きます。そこで、19歳から22歳を扶養する人には、「特定扶養控除」として63万円を所得から差し引くことで、税負担を軽減できる仕組みがあります。

2024年までは、親が特定扶養控除を利用するための子の年収が103万円以下と規定されていました。しかし、アルバイトの時給が一昔前より上昇した結果、壁を越えずに働ける時間が減りました。物価高に伴う生活費の高騰もあり、もっと稼ぎたい学生にとっては“103万円の壁”は低すぎるものとなりました。

そこで、2025年からの新制度では「特定親族特別控除」が新設され、子の年収が150万円までであれば、親は最大の63万円の控除を受けられることになりました。さらに、子の年収が150万円を超過しても188万円以下であれば、親は子の年収に応じた控除を受けられることになっています。

親が63万円の控除を受けることで、どの程度の節税効果があるのでしょうか。所得税は高所得者ほど所得税率が高くなるように設定されており、所得に対して5%~45%課されます。そのため、節税できる金額は、親の年収によって異なります。

例えば、子がアルバイト代を150万円以下に抑えて、親に特定扶養控除もしくは特定親族特別控除が適用されると、親の所得から63万円を控除できます。仮に親の所得税率が20%だとすると、親の所得税負担が、63万円×20%=12.6万円減らせることになります。

住民税にも特定扶養控除があります。住民税の場合、控除額は最大45万円になります。住民税の所得割は一律10%なので、45万円×10%=4.5万円の負担が減らせます。つまり、所得税率が20%の親の場合、子がアルバイト代を150万円以下に抑えることで、親が12.6万円+4.5万円=17.1万円の税負担を減らせることがわかります。

なお、子がアルバイトで188万円以上の年収を得た場合には、親は特定親族特別控除を使えなくなります。

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