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やがて壊れる「130万円の壁」に企業が打つべき手 【前編】全企業が「短時間労働者の保険加入」へ

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人手不足の原因とやり玉に挙げられた「年収の壁」。企業が保険料を負担せず短時間労働者を働かせることができた環境は終わりが近づいている。

バーコードでラベルを読み込む女性
保険料を負担しながら利益を出すには(写真:Jake Images / PIXTA)

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2023年1月の国会での問題提起を機に9月、岸田文雄首相が支援策を打ち出した「年収の壁」。社会保障を専門とする是枝俊悟・大和総研主任研究員に前後編にわたって解説してもらう。→後編はこちら

※この記事は11月2日5:00まで無料でお読みいただけます。それ以降は有料会員向けとなります。

政府は、9月27日に、「年収の壁」への当面の対応策を発表し、10月から順次実施されている。

なぜ「当面」の対応策なのか。「壁」の基にある年金制度は、人口や経済の見通しなどを踏まえて、今後100年間の財政収支が均衡するように詳細な試算を行ったうえで制度設計をする必要があるため、一朝一夕に制度改正を行うことはできない。

このため、長期的な対応策としての年金制度そのものの見直しは、2025年の法改正に向けて、厚生労働省社会保障審議会年金部会にて、時間をかけて検討が進められている。

当面の政府の対応策と、長期的な制度改正の方向性について、この前編では「130万円の壁」、後編では「106万円の壁」を中心に解説する。

「税制の壁」は誤解、手取り減は生じない

そもそも、「年収の壁」とは何か。

短時間労働者が収入を増やしていくと、制度の要因によって、かえって手取り収入が減少してしまう「逆転現象」が生じることがある。このため、その収入が減らないように一定収入の手前までに留まるよう就業調整が行われることが「年収の壁」(あるいは「〇万円の壁」)と呼ばれる。

「年収の壁」は、古くから、女性の就業を阻害するものとして、男女平等や女性活躍の観点から問題視されてきた。しかし、近年は、人手不足を深刻にさせるものとして、企業側からの見直しの要望が特に強くなり、政府として対策を行うこととなった。

「年収の壁」をもたらしている制度として、よく誤解されるのが、税制である。

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