古くて新しい問題に火がついた。
「何としてもこの壁を打ち破らなくてはなりません。(中略)負担をなくすため、大胆な政策が必要となります」。1月末、衆議院予算委員会で自民党の萩生田光一政務調査会長が発言したのが皮切りだった。
“壁”とは何か。
パート主婦の収入が一定額を超えると、税金や保険料負担が発生したり、夫が勤め先から配偶者手当を受けられなくなったりすることを指す。目下、やり玉に挙げられているのが厚生年金保険料と健康保険料の支払いが生じるラインで手取り減が発生すること。これを避けるために就業時間を減らすことを問題視し、対策を求める声が上がったのだ。
「無間地獄」に「突破給付」と国会質問
2日後の同委員会で平将明議員(自民)が続いた。「今何が起きているかというと人手不足です。時給を上げると働き控えが起きる無間地獄になっているんです」。
その2日後には、国民民主党の玉木雄一郎代表が「“突破給付”の実現を目指したい」とツイッターで同調し、同党議員も国会で質問を繰り出した。
岸田文雄首相は3月の記者会見で、「新たに壁を越えても、手取りの逆転を生じさせない支援策を導入する」と明言。6月にも公表される「骨太の方針」に盛り込まれる見込みだが、厚生労働省は対応に苦慮しているもようだ。
というのも、パート主婦の一部についてのみ保険料を肩代わりすることに対して不公平との批判は避けられず、負担と給付がセットとなる保険の原則が崩れるからだ。財源をどこからひねり出すかも悩ましい。
岸田首相は同時に、「働き方に中立的な制度」を目指し、壁を生む現行制度そのものも見直すと言及した。一方、手取り減を補う支援に否定的な連合(日本労働組合総連合会)は5月、制度のあり方についての「検討の方向性(素案)」で、主婦が保険料を負担せず基礎年金を受給する現行の「国民年金3号」廃止を記した。
「結論を得たわけではない」(芳野友子会長)、「経過措置を考えると何十年とかかる」(清水秀行事務局長)と留保付きだが、踏み込んだ形だ。
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