ダルトンは株主提案書の中で、フジ・メディアHDやフジテレビが3月27日に打ち出した役員陣の人事案に対し、「ようやく日枝体制が終焉を迎え、フジテレビは生まれ変わるチャンスを得た」と一定の評価を下した。
一方で、「株主は日枝体制の残滓を一掃し、フジテレビの大変革を力強く推進する経営者たちを当社に送りたい」としている。そのうえで4つの課題があると指摘、最初にガバナンス改革を挙げている。
親会社であるフジ・メディアHDと子会社であるフジテレビに同じ取締役が名を連ね、かつ清水賢治社長以下、これまでの経営陣にいた5人がいまだ残っているのは「何も変わらないというメッセージだ」とし、外部から有力な取締役候補を招聘して改革することが必要だとしている。
そして外国人による支配を防ぐために放送法に設けられた外資規制に守られてきたことで、株主のガバナンスが効かない「ぬるま湯」の環境に置かれてきたと指摘。認定放送持株会社が放送事業とは関連性のない不動産事業を保有しているのは適切ではなく、その結果、放送事業の衰退を招いたとして不動産事業のスピンオフを求めている。
そのほか政策保有株の売却、制作会社や地方局との関係見直しやコンテンツの収益化などを柱とした放送・メディア事業の改革も必要だと訴えている。
ダルトン提案の12人は異色の顔ぶれ
こうした課題を解決することができる人物としてダルトンが提案しているのが下の図の12人だ。
金融・財務やガバナンスに強いという意味では北尾氏をはじめ、旧日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)出身でジャパンディスプレイ(JDI)前社長の菊岡稔氏の名前が挙げられる。
不動産事業の分離をめぐっては、アクティビストからのプレッシャーを受けて不動産事業の切り離しに動き出したサッポロHDで社外取締役を務める岡村宏太郎氏の名前が目に入る。40代の田中渓氏も同様だ。ゴールドマン・サックス証券で不動産投資などを担った実績を持つ。
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