認知度も低下、教員の処遇改善…教育の重要局面で何ができるか?「日教組」の現在地 過去最低の組織率18.8%でも発信強化の真意

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梶原貴(かじわら・たかし)
日本教職員組合 中央執行委員長
大学卒業後、山梨県山梨市立山梨南中学校(理科担当)に赴任。1997年4月より3年間、香港日本人学校に派遣。その後、都留市や甲州市の中学校で教鞭を執る。2012年山梨県教職員組合常任執行委員、2014年同執行委員長等を経て、2018年に日本教職員組合へ。書記次長、中央執行副委員長を経て、2024年4月から中央執行委員長
(写真:前屋氏撮影)

——それでは、子どもたちにとっても教員にとっても授業がおもしろくありませんね。経験の浅い教員でも的確な「重み付け」ができるためには、何が必要なのでしょうか。

まず必要なのは授業準備(教材研究)のための、十分な時間が確保されることです。授業準備に時間をかけて内容を把握していなければ、目指す授業にするためのメリハリをつけることはできませんからね。

教科書を終えるために、ほかの教科の教員が出張とかで空いているコマがあると、それをもらって授業の遅れを取り戻そうとする経験の浅い教員が、とくに中学ではいます。そういう状態では、授業準備の時間を勤務時間中に確保できません。

小学校では教科担任制の導入で、全部の授業を担任がやらなければならない状況は減ってきましたが、授業時間以外にも採点や生徒指導、保護者対応などやるべきことは多岐にわたっているので、授業準備の時間は十分に取れていません。

教科担任制といっても、学校によっては、自分のクラスの理科の授業を教科担任にやってもらっているときに、自分はその理科の教科担任のクラスに社会の教科担任として入るといった、ただ交換授業をやっているだけの場合もあります。これでは、授業準備に充てられる、授業をしなくていい空きコマを確保できないわけです。

——十分な授業準備ができれば、授業内容も充実することになります。それは、子どものためにもなります。

魅力的な授業にするには、子どもたちをワクワクドキドキさせる要素も必要になります。そういう授業ができてこそ、子どもたちに学ぶ楽しさを伝えられるはずです。そのためには「仕込み」が必要で、その時間が授業準備です。教員がいちばん時間をかけたいと思っているのが授業準備なのです。その時間を捻出しにくいのは、ストレスでしかありません。

教員が授業準備にかけたいと考えている時間の平均は?

——授業準備の時間を確保するためには、どうすればいいのでしょうか。

勤務時間内に授業準備の時間を確保するために、授業を担当するコマ数に上限を設けて、授業準備のために授業をしない空きコマをつくることが絶対に必要になります。小学校であれば、本当の意味での教科担任制を実現して、担任が全部の授業をやっている現状を変えなければいけません。教科担任が担当する時間は、担任は授業準備に充てる空きコマにすればいいわけです。そのためにも、実質的な教員数を増やす「純増」が必要です。

——どれくらいの授業準備の時間を教員は必要としているのでしょうか。

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