迫るタイムリミット、「トランプ関税」解決の糸口は大統領が連呼する"シンゾー"にあった?
トランプ大統領の要求は「日本との1000億ドル超の貿易赤字」の解消だったが、石破首相はこれに「1兆ドルを視野にした投資の拡大」で応じた。今年4月にトヨタ自動車がノースカロライナ州でEV(電気自動車)用バッテリーの出荷を開始し、いすゞ自動車が再来年にEVのトラックやエンジンの生産工場をアメリカ国内に建設する計画をも伝えている。
こうした“お土産”にトランプ大統領が満足したと、石破首相は思ったのかもしれない。しかし相手はさらなる「ディール」をしかけてきた。そして日本経済を崖っぷちまで追い込み、石破首相にさらなる決断を迫ろうとしている。
安倍元首相はどのように対応したのか
トランプ大統領は2日の会見で、「シンゾーはすぐ理解した」と述べている。トランプ大統領は第1次政権時の2018年に日本に対して自動車や自動車部品に関する25%の関税をちらつかせたが、当時の安倍晋三首相は豚肉や牛肉など農産物の関税引き下げでそれを見送らせたという経緯がある。
そればかりではない。日本は同年、F35戦闘機を約100機追加購入することをアメリカと約束。2017年にも北朝鮮の核・ミサイル対策として、建造費約5000億円のイージスアショアの導入を決定した。
後者は2020年6月に河野太郎防衛相(当時)が、ブースターの落下の安全性が担保できないことを理由に計画配備のプロセスを中止させたが、それでも多額の防衛費がFMS(対外有償軍事援助)を通じてアメリカ政府に流れていることは間違いない。
そもそも2025年度の在日米軍関係経費(防衛省・自衛隊)として、「防衛関係予算」が4572億円、「SACO(沖縄に関する特別行動委員会)関連経費」が111億円、そして「米軍再編関係経費」が2146億円と、計6829億円が計上されている。これに総務省の「基地交付金」や財務省の「提供普通財産借上資産」を加えると、在日米軍関係経費はほぼ9000億円にも達する。
ちなみにこのうち、「思いやり予算」と言われる「同盟強靭化予算」は2025年度で2274億円だが、トランプ大統領は第1次政権時の2019年に80億ドルへ増額することを求めたこともある(2019年度の「思いやり予算」は1974億円)。
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