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〈妙策か愚策か〉エネ庁の「三菱商事・救済案」に高まる批判、「洋上風力事業」の公平性はどこへ

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FITは安定的な収益が見込める反面、相対取引で高く売電することはできない。入札時の想定コストを大幅に上回る現状にあっては、コスト転嫁の余地がまったくない厄介な売電方式だ。

そこでエネ庁は、三菱商事連合がFITからFIP制度へと転換できるように助け舟を出した。端的にFIPを説明すると、あらかじめ決められた「基準価格」と卸電力取引市場などでの「市場価格」との差額を補助する制度だ。

基準価格は、電力供給に必要な費用などさまざまな事情を考慮して事前に設定される。そして「基準価格-市場価格」の分を「プレミアム」として国が補助する。再エネ特措法のもとFIP制度がスタートしたのは2022年4月。第1ラウンドの入札結果が出たのはFIPの導入前となる。

プレミアムの有無は大きい

審議会で示された改訂案のとおりなら、三菱商事連合はプレミアムとして国の補助金をもらえる。またFIP制度の下では、発電事業者が売電先を開拓し、物価変動分を売電価格に転嫁するような契約を結ぶことも自由になる。

ある発電事業者は三菱商事連合がFIP転換し、企業などに対して1キロワット時当たり20円で20年間売電する契約を結ぶことができれば、3海域にもたらされる追加収入は6600億円になると推定する。

問題はそれで事業の公正性を保てるのかだ。

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