新・三本の矢は政権の軌道修正を示している 安保で支持率低下、景気の先行きも厳しい

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600兆円目標の具体策以上に議論を呼びそうなのが、17年4月に予定されている10%への消費税率引き上げへの対応だ。現在、自民・公明両党間で、軽減税率について検討が進められている。

しかし、9月に入って財務省が提案した「日本型軽減税率」には、批判が集中。特に公明党は「これは軽減税率とまったく違う」と拒否。議論は暗礁に乗り上げている。

公明党の斉藤鉄夫・税制調査会長は「過去3回、選挙の公約に掲げたのに、軽減税率を達成できないとなると、公約違反。参院選はこのままでは戦えない」と強調する。

内閣改造・両党役員人事後の10月中旬以降、両党の議論は再開される見通し。だが、軽減税率の落としどころが見えないうえ、足元の景気停滞や株式市場の乱高下を受け、消費増税再延期のシナリオも浮上している。

2016年7月の参院選まで1年足らず。アベノミクス第2ステージは波乱の幕開けだ。

「週刊東洋経済」2015年10月10日号<5日発売>「核心リポート05」を転載)

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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