不足する「セキュリティ人材」の育成に挑む国立高専、「サイバー攻撃への技術的対応」から「模擬記者会見」まで実践を重視した教育のリアル

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例えば、カリキュラム策定だ。国立高専共通の「モデルコアカリキュラム(MCC)」として、セキュリティ分野の学習項目をK-SECが提案。全学生が学ぶ「工学基礎」や、情報系学科が対象となる「情報系分野」の標準的な学習内容をはじめ、より高度な内容を含み、各校の特色を生かしたカリキュラム編成の参考指針となる「サイバーセキュリティ分野 MCC Plus」も定めた。さらには教材開発も行い各校に展開してきたという。

MCC Plusのイメージ

教員育成にも力を入れてきた。全国の高専から毎年20名ほどの教職員が、ITセキュリティとOTセキュリティの2分野に分かれて学習会や教材開発を行う形で、セキュリティ教育スキルの向上を図っている。この取り組みは、教職員コミュニティーとしても機能しているそうだ。そのほか、企業のセキュリティエンジニアとの定例交流会や実務家教員による授業⾒学会、合宿なども実施している。

学生に対しては、各種の講習会やセキュリティコンテスト、セキュリティ企業でのインターンシップを開催。授業の枠に収まらないハイレベルの学生に向けて、長期休みを利用した講習会も行っている。

外部人材も活用し「実践的な教育」を展開

「セキュリティの世界は本当に変化が速く、最新のトレンドや技術を踏まえた内容を教育に取り入れる必要があります。そのため、当初から企業をはじめ外部との連携を重視してきました」と、木更津工業高等専門学校教授の丸山真佐夫氏は話す。

前述の取り組みも、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)とその会員企業を中心としたセキュリティ・情報通信関連企業、官公庁、大学等の協力を得ながら実施してきたという。とくに高専のサイバーセキュリティに関する授業では、実習系の授業を中心に、企業で実際にセキュリティを担当しているエンジニアなどを非常勤講師として積極的に採用している。

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