従来eTSIに用意されていた3気筒の1.0リッターエンジンはラインナップから落とされた。その代わり今回、1.5リッターは、出力違いの種類(85kWと110kW)が用意されている。
もうひとつの注目点は、GTIの最高出力が上がったこと。15kW向上して195kW(265ps)になった。370Nmの最大トルクはそのまま。もちろん、伝統的な前輪駆動方式も守られる。4WDがほしい人のための「ゴルフR」の改良版は、追って発売されるようだ。

GTIがゴルフの金看板であることは、いまも変わらない。赤いアクセントとチェック柄のシート地といったアイコン的なディテールは、今回も踏襲された。「この先、仮にフル電動化されても、GTIという存在は残したい」と、本社のCEOも語っている。
「ソフトすぎる」の声に応えて
乗ってみれば、期待どおり炸裂するようにトルクが出てくるスポーティなフィールは健在。195kWの最高出力は5250~6500rpm、370Nmの最大トルクは1600~4500rpmの間で得られ、回転を上げていくと、しっかり応えて力を出してくれる。
足まわりの設定は「スポーツ」と「コンフォート」が選べる。「DCC」と名付けられた電子制御ダンパーの減衰力を、モニター内で選択できるのだ。

聞くところによると、これまでの第8世代のGTIは、「足回りの設定がソフトすぎる」という声が顧客の間で一定数あったとか。私はドライブしながら「スポーツ」モードにしてみて、その“声”が意外だった。乗り心地は考えていた以上に硬めだ。
操舵に対して、車体の反応が速くなる印象で、わかりやすいスポーティさがある。こういう味付けが、求められていたのだろう。
でも、私としては、「コンフォート」モードのほうが好ましかった。路面からの突き上げは吸収され、スポーツカーというよりGT(グランツーリスモ)的なキャラクターが強く出るように感じられるからだ。
あたりのやわらかい、といえばいいのか、GTIの持つトルクの豊かな走りを味わうのによい設定だ。
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