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パナソニック・中村邦夫という聖域 プラズマ敗戦の「必然」

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人事権の掌握が世代交代を阻む

大坪への社長交代を決めた際、中村の心中には絶対的存在に祭り上げられることへの強い懸念があった。しかし結果的にこの懸念は現実化した。意識的ではなかったにせよ、中村は自ら“雲上人”になる道を選んでしまったフシがある。

社長就任以降、大坪の周囲に配置されてきた主要な経営陣は、大坪と出世レースを競ったライバル(半導体部門のトップだった古池進、AV機器部門を率いた坂本俊弘)や、中村体制の番頭役を担った先輩社員(国内営業を改革した牛丸俊三)らで占められてきた。これでは、大坪が社長業を遂行するうえで身動きが取りにくくなるのは自明だった。

権力を委譲する意思が本当にあったのなら、中村はせめて経営の中枢に大坪の手足となって働ける女房役を据えるべきだった。大坪はただでさえ実直で謙虚なタイプだ。平取締役からの大抜擢で知られた山下俊彦(第3代社長)が松下幸之助に向かって直言したような、舵を取るうえで都合の悪い先輩役員を退陣させるよう中村に切り出すことなど、当初から想定しえなかったはずだ。

たとえ“院政”という形でも、中村がビジョンに優れたリーダーだったなら会社をよい方向に導いていたかもしれない。

周囲に「ノー」を言わせない中村の存在。それはボトムが勝手に動きがちな分権型の大企業で、構造改革を断行するうえでは抜群に機能した。しかしそれに続く「創造」のステージではどうか。世界の家電市場はどうなるのか、消費者は何を求めており、それにはどの技術を選択すべきか--。ここで中村が誤った見通しを持つと、軌道修正が利かなくなる。巨資を投じながらつまずいた、プラズマ事業はその悲劇といえる。

 

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