トヨタがこのタイミングでレクサスの中国生産を決断した背景には、自動車産業の世界的なEVシフトの流れがある。
同社は2021年12月、2030年までに30車種のEVを投入し、同年のEV販売台数を(全世界で)350万台に引き上げる計画を発表。その中で、レクサスのEVを2030年に100万台販売し、2035年にはレクサスの全車種をEV化する目標を掲げた。
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中国は今や世界最大のEV・PHV市場であり、2024年の(エンジン車を含めた)自動車販売台数に占める比率は約4割に達した。ヨーロッパやアメリカの自動車市場では、2024年からEVシフトがペースダウンしているものの、業界内では長期的な趨勢は変わらないとの見方が主流だ。
中国EV産業の基盤を活用
エンジン車からEV・PHVへの移行で中国が世界に大きく先行したのは、中国政府が関連産業の発展を強力に支援した効果が大きい。その過程でEV・PHVの部材から完成車までフルセットのサプライチェーンが構築され、専門人材が大量に育成された。
テスラが中国および世界で販売を急拡大できたのも、同社の上海工場の貢献を抜きには語れない。トヨタはレクサスの上海工場で、テスラの成功体験の再現を目指しているのかもしれない。
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中国政府の自動車産業政策の変化も、レクサスの独資工場の計画を後押しした。トヨタが中国で完成車の現地生産に乗り出した当初は、外資系メーカーには中国の自動車メーカーとの合弁が義務づけられており、独資による工場建設は不可能だった。そのうえ、設立できる合弁会社は2社まで、出資比率は50%以下に制限されていた。
だが、中国政府は2018年から自動車産業の外資規制を段階的に緩和。まずEVの完成車工場について独資による建設を認め、2022年には(エンジン車を含めて)すべての外資規制が撤廃された。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は2月5日
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