世界が震撼「DeepSeek」創業者による問題提起 中国の現状への率直な意見、現地でも話題に
生成AIが大いに盛り上がっているとは言え、大規模言語モデルには巨額の研究開発費が必要で、ビジネス展開の道筋も見えていない。異業種、かつスタートアップの幻方量化が成功を収められるとは考えにくかったが、梁CEOは大学、大学院でAIを専攻し、クオンツファンドの展開においても機械学習の研究開発を続けるなど、自身を「AIの技術者」と捉えていた。
クオンツファンド設立時のメンバーの多くはAI人材だったそうで、インタビューでは「自分も含めて金融の素人だったからこそ、セオリーにとらわれず自分たちのやり方で成功できた」と語っている。事実、幻方量化は独自のやり方で短期間に業界上位のファンドに浮上し、「攪乱者」と認識されていたようだ。
梁CEOは学生だった2008年に中国株のトレードを始め、徐々にフィンテックとの関わりを強めていったが、そこには金融危機という時代の影響もあったとされる。
元々AI技術者だった梁CEOにとって、AIが爆発的進化を遂げている時期に参入するのは自然なことであり、金融での成功体験から業界経験がないことを不利とは思わなかったようだ。
梁氏のファンドが大量にチップを買い込む
②半導体チップ1万基備蓄の目的
DeepSeekが設立されたのは2023年だが、梁CEOは2010年代から機械学習を研究し、2019年にディープラーニングの訓練プラットフォーム「蛍火一号」を、2021年にエヌビディア製(インテルという報道もある)グラフィックス処理装置(GPU)を1万基を搭載した「蛍火二号」を開発した。
中国メディアによると、アメリカが輸出を禁止する前の2021年に高性能半導体チップを1万基備蓄している中国企業は数えるほどしかなく、幻方量化以外はすべてIT大手だったことから、「なぜファンドがそんなにチップを買い込んでいたのか」「先見の明だ」と話題になった。
梁CEOはインタビューで、2015年までに100基、2019年に1000基を購入し、その後1万基まで買い増したと明かし、その理由を「好奇心」と説明した。
梁CEOによると2012年、ディープラーニングを用いた画像認識の技術進展に貢献したAlexNetの登場に刺激を受けてAIの動向を注視するようになり、2020年にOpenAIがGPT-3を発表したことで、「AIの発展には大きな計算力が必要になる」という方向性が見えたため、チップの研究や調達に力を入れるようになったという。
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