世界が震撼「DeepSeek」創業者による問題提起 中国の現状への率直な意見、現地でも話題に

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③目標はAGIの実現

DeepSeekを立ち上げ、AIモデルを開発する目的について、梁CEOは「(人間同様の知能を持つ)AGI(汎用人工知能)実現に向けた過程の1つで、探索、研究のため」と明言している。彼にとってAGIは金融に続く「困難なチャレンジ」だという。

生成AIはマイクロソフトやグーグル、バイドゥなど米中メガテックがしのぎを削る分野で、いずれも自社のエコシステム拡大のキーとなる技術と位置付けている。

一方梁CEOにとって、生成AIはAGIのための「基礎研究」で、ビジネス展開は(インタビュー時点で)考えていないそうだ。

ちなみにDeepSeekは2024年5月にオープンソースの格安AIモデル「DeepSeek V2」をリリースし、中国の生成AIに価格競争を引き起こした。これが話題を呼び、格安越境EC「Temu」を運営する「拼多多」になぞらえて、「AI界の拼多多」という異名もついた。

このとき梁CEOは「ユーザーを奪うことが目的ではない。開発コストが下がったから安く提供したし、AIは誰にでも手が届くものであるべきだ」と語り、ビジネスの論理とは一線を画す姿勢を強調している。

同時に、売り上げや利益を目指さない姿勢だとVCから資金調達しにくいという現実も明かしている。

海外での留学経験・就業経験がない

④国内の新卒者を採用

中国が直面する生成AIの壁は、チップ調達だけでない。人材不足も深刻だ。国営メディアは2030年に中国のAI人材が400万人不足するとの試算を紹介している。

中国の理系トップ人材がアメリカに流出し、OpenAIやグーグルなどテック企業の技術開発を支えているのは周知の事実だ。

OpenAIの「GPT-4o」開発チームの主要メンバーには北京大、清華大、中国科学技術大など中国トップ大学を卒業し、アメリカの大学院を経てアメリカのテック企業に就職した華人華僑が多く含まれている。

創業から1年余りで計1億3500万ドルを調達し、注目を集めたアメリカの生成AIスタートアップ「Pika」は、創業メンバー4人のうち3人が中国系で、郭文景CEOは中国で過ごした高校時代、「天才美少女」として知られていた。その後ハーバード大に進学しアメリカに根を下ろした。

中国企業、ましてやスタートアップがAIのトップ人材を獲得することは極めて難しい。

事実、DeepSeekは梁CEOをはじめメンバーのほとんどが海外留学・就業経験を持たない「国内組」だという。

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