4700人超の教職員未配置、全日本教職員組合「教育に穴があく」実態調査の衝撃 学校現場の悲痛な声、子どもへの影響を懸念
教職員の未配置によって、負の連鎖も起きている。欠員を埋めることができないために、管理職や同じ学年の教員が授業を受け持つことになり、担当時数が増えて時間外勤務も多くなる、それが長く続くと疲弊して、病休者が出るといった具合だ。
・空き時間の教員・教務主任を総動員して業務・授業に対応して、全くゆとりのない、トイレに行くにもはばかられる状況となっている。(特別支援学校)
・家庭科教員がいないので、英語の教員と教頭が指導。※まだまだこんな状況が多々あると思います。ひどい状況です。子どもにとってマイナスですし、教員の負担も大きすぎます。(中学校)
・校内の担任が休みに入り、未配置対応のためそれまで専科だった教員が担任をすることになったが、急な変更で専科だった教員も休みがちになっている(小学校)
・未配置の学校では、ドミノ式に病休者が出てくる状態。(高校)
・県教委が報告する教員未配置だけでなく、風邪などの病欠、お子さんの発熱による特休などが重なると学校は人手不足で非常に危険な状態。(小学校)
・結局支援級にしわ寄せがいっています。通常級を担任していた常勤職員がいなくなる→非常勤職員しか確保できない→支援級を受け持っていた常勤職員を通常級担任にして、新しく来た非常勤職員に支援級を担当させる。こういう状態が続いているので、支援級担当の教員が何度も入れ替わります。支援級の教育水準が保てませんし、この調整を図る特別支援教育コーディネーターの負担がまた過重になります。今のところ支援級児童の保護者が受け入れてくれているから何とか学校が回っていますが、ほんとうに申し訳ない状態で、抗議を受けても仕方のない状態です。(義務制)
出所:全日本教職員組合「教育に穴があく(教職員未配置)」実態調査結果から一部抜粋
教職員定数の5827人増員が閣議決定したが
社会的にも「教員不足」が話題となって久しいが、なかなか改善が進まないのはなぜなのか。それはさまざまな施策が複雑に絡み合って起こった問題だからだろう。
その1つに、正規教員を配置せずに臨時的任用教員や非常勤講師を含めた学校運営を進めてきたということがある。
「少子化なのに教員を増やす必要はあるのか?」という声もあるが、子どもの数にあわせてクラス数も減っていれば問題はないが、通級指導教室や特別支援学級の増加など、多様化する子どもたちの支援で学級数は増加している。また英語やプログラミング教育の導入などで、教える内容も増えている。
近年は、団塊世代の退職で正規教員の採用を増やしてきてはいるものの、学校現場で深刻になっている長時間労働問題や残業代が支払われない給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の影響などもあり、教職の人気はすっかり落ちてしまった。文科省や教育委員会が、教員志望者を増やそうとあれやこれやと施策を講じているものの教員採用試験の倍率は低迷を続けている。