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「銀行界に自主努力を」財界総理への根回しは不調 宮澤喜一と公的資金③

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並んで座る宮澤首相と平岩外四経団連会長
宮澤首相と平岩外四経団連会長(左)(写真:毎日新聞社/アフロ)

1992年8月15日、土曜日。休暇先の軽井沢から一時帰京した首相の宮澤喜一は、全国戦没者追悼式に出席した後、午後1時すぎからホテルオークラ別館で経済団体連合会会長の平岩外四と会談した。

当時の新聞では、景気対策を中心に意見交換が行われたと報じられたが、会談の実態は生々しいものだった。宮澤に随行した秘書官が記録し、政府部内で閲覧された会談メモを初公開する。

会談記録には「幹部限定閲覧メモ」とタイトルがつけられ、「8月15日の総理と平岩会長との間で以下の話があった。」との短い前文に続き、主なやり取りが記されている。なお、PMとはPrime Minister(総理大臣)の略称である。

会談メモが明かした公的資金への強い思い

PM 証券対策について一種の危機管理のようなものが必要ではないかということで、大蔵省に検討を頼んでいる。何もしないで済めば一番良いが、ブラックマンデーの時のFRB(米連邦準備制度理事会=筆者注)の「カネはいくらでもある」という表明や、70年代のイギリスでのライフボート(救命艇)政策の例もある。

万が一さらに悪くなった時のことも考えておく必要がある。万が一の時には平岩会長からも政府・日銀に対して「何とかしてほしい」と言ってほしい。アメリカはS&L(貯蓄貸付組合)の救済に多額の財政資金を投入した。日本は一種の危機管理のようなことをやっても恥ずかしくない。

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