"宙づり国会"の与野党攻防は「出たとこ勝負」に 「予算」「企業・団体献金」「夫婦別姓」で駆け引き

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続いて、残る3党がビデオ出演し、神谷宗幣・参政党代表は「アメリカの大統領がかわり、政策が変わると思うので、日本の政策も変えていかなければならない」、百田尚樹・日本保守党代表は「『日本を豊かに、強く』を理念に立ち上げた政党だ。理念に沿う形であれば賛成、そうでなければ反対というふうに是々非々で臨みたい」、福島瑞穂・社民党党首は「食料品にかかる消費税ゼロ、教育費、給食、高校や大学の授業料の無償化、非正規雇用の正社員化などをやっていく」などとそれぞれ主張した。

こうした各党の主張や要求を比較・分析すると、攻める野党各党の「政治的立場の違い」も浮き彫りとなる。少数与党の「宙づり国会」の中で、いわゆる“ゆ党”(“や党”と“よ党”の中間)として与党寄りの姿勢が目立つ維新、国民民主両党は、「どちらも予算賛成を視野に入れた条件闘争」(自民国対)を展開する構えだが、立憲は「状況次第では、維新や国民民主が予算賛成に傾きそうな段階で、内閣不信任案をぶつける」(有力幹部)と強く牽制する。

ただ、立憲内部には「采配を振るう安住淳予算委員長(立憲所属)の立場もあり、長期暫定予算に追い込むようなことは避けるべきだ」(閣僚経験者)との慎重論も少なくない。

立憲、維新低迷、際立つ国民民主の躍進-各種世論調査

というのも、年明け以降に各主要メディアなどが相次いで実施した世論調査を分析する政治アナリストの間では①石破内閣の支持率は低迷しているが、政権の危険水域ではない②野党では立憲の支持率が下落、維新も低迷している一方で、国民民主の支持率は立憲を上回るケースも目立つ③野党の対与党交渉の主導権争いでは、完全に国民民主が抜け出しつつある④現状が続けば、野党各党の参院選戦略はそれぞれ大幅見直しが必要となる――などの見方が広がっているからだ。

だからこそ、「石破首相を先頭に政府・与党幹部は野党の“手柄争い”を利用して、政策をめぐる個別交渉で野党を分断し、なんとか国会を乗り切って“参院選勝利”につなげたい考え」(自民長老)とみられている。

ただ、20日に第47代アメリカ大統領に返り咲いたトランプ氏は、「Make America Great Again(メイク アメリカ グレート アゲイン・ MAGA=アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)に向け、大胆なアメリカ第一主義を具体化する記録的な数の大統領令署名などで世界を震撼させている。

これに対し、石破首相は「トランプ氏と腹を割って話せば、理解は得られるはず」と2月上旬にも訪米し、日米首脳会談での同盟関係強化に自信をにじませるが、政府与党内にも「防衛費の大幅増額など、とんでもない要求を突き付けられる可能性大」と不安視する声が多く、「訪米が政権動揺の要因にもなりかねない」(自民長老)との悲観論が相次ぐのが実態だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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