悪質なデータ復旧事業者「レスキュー商法」の手口 多発する「納得できない作業結果と費用請求」
また「このまま手を打たないでいると、さらに障害が悪化して復旧できなくなる」といった説明で不安をあおり、契約を急かすのも悪質な事業者の特徴。契約書の内容を冷静に判断するための時間を与えようとしないのです。ちなみにデータが呼び出せなくなってからも、パソコンを使いデータの上書きを続けていた場合などは別として、消えたデータを放置しておくことで状態が悪化することはありません。
さらには、「自社しかない特許技術を持っています」「この障害を復旧した実績があります」など、特定の事例を強調してアピールする事業者も注意が必要です。
――金額面でも、高額な請求をされることが多いのでしょうか。
金額の大小そのものではなく、提供されるサービスの内容と請求金額の乖離が問題であると言えます。
例えば私たち協会としては成果報酬制、つまり実際に復元ができたときのみお客様からお金をいただくのが本来は望ましいと考えています。復旧の可否を診断するために、デバイスを分解しなくてはいけないときなどは診断料が発生することもありますが、最低限に留めておくべきです。成果報酬制なら、お客様との間で金額面での合意さえ得られれば、不満や不信感が生じることはほとんどありません。
一方、レスキュー商法業者は、診断料30万円、作業料10万円といったように、診断の時点で高額な金額が発生する料金体系になっている場合が多くあります。もちろん、復旧の可否を見極めるための診断作業に、本当に30万円程度の費用がかかる状態なのであれば問題ないのですが、提示された価格の根拠が不明であるケースが少なくありません。
私たちも日々同様の業務を行っていますので、「なぜこの作業にこれほどの費用が必要なのか」と疑問に感じる相談事例が多いのです。ひどい事業者では、依頼された機器とは異なるメーカーの機器の解析データを顧客に渡していました。「デバイスを事業者に送付してからわずか数時間後に、復旧できないとの連絡を受けた。このような短時間で本当に診断してくれたのか」といった声も寄せられています。
サブスクを利用した新たな手口も登場
――レスキュー商法に関する協会への相談は、企業と個人のどちらが多いでしょうか。
企業が3割、個人が7割です。ただし企業については、契約書にサインをしている以上、法的に異議を唱えることはできないと判断してあきらめているケースも多々あると考えられ、実際の被害は相談件数を大きく上回っていると想定されます。また企業の場合、数百万円単位の高額請求をされていることが多いですね。
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