悪質なデータ復旧事業者「レスキュー商法」の手口 多発する「納得できない作業結果と費用請求」

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DRAJはデータ復旧業界の健全な発展と業界の適正化のために、専門事業者が結集して設立された協会です。協会には以前から「ある事業者と契約を結びサービスを受けたが、結局データは復旧しなかった。どうもだまされた気がする」といった相談が数多く寄せられていました。

被害相談でよく名前が出てくる悪質な事業者は4~5社程度ではありますが、それでも業界全体の信頼性を揺さぶりかねない事態です。そこで2024年3月、データ復旧サービスのレスキュー商法に関する相談窓口を開設し、より本格的に対応することにしました。

DRAJのHP
DRAJは2024年3月、データ復旧サービスのレスキュー商法に関する相談窓口を開設(写真:DRAJのHPより)

高い復旧率を強調するのに、復旧保証はない

――レスキュー商法の事業者の手口について、もう少し具体的に教えてください。

まず、「復旧率95%」といった非常に高い数字をホームページなどで掲げているのを特徴としています。営業の場面でも、「よほどの例外を除いて復元できる」といった説明を行い、契約を取りつけようとします。95%と聞かされれば、多くの人は自分たちのケースも復旧できると考えてしまうでしょう。

しかし一般的な常識で言えば、データの復旧率というものは50~70%程度。また、データやデバイスの状況を確認する前から復旧可能であるかを判断するのは技術的に不可能なことであり、こうした発言によって顧客を勧誘するのは不適切な行為と言えます。

そして高い復旧率を強調して言葉巧みに勧誘する一方で、契約書には免責事項として復旧保証がないことが記載されています。ですから復旧できなかった場合でも、契約書の内容に沿って料金が請求されます。顧客としては、いったんは同意して業者と契約を結んだわけですから文句は言いにくい。でも納得がいかない、ということになるわけです。

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