FOMC、世界経済巡る懸念で利上げ見送り 10月以降年内利上げの可能性は残す
[ワシントン 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は17日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)で、世界経済をめぐる懸念や金融市場の動揺、米国で低迷するインフレを理由に、金利据え置きを決めた。だが年内利上げの可能性は残した。
イエレン議長は会見で、米経済はおそらく利上げを正当化するほど良いとし、「今後もこうした状況が続くと見込む」と指摘。だが「海外情勢をめぐる不透明性の増大を踏まえ、FOMCは待つことが適切と判断した」と説明した。その上で「米国と諸外国の経済・金融上の関わりの深さを踏まえると、海外情勢を注視する必要がある」とし、海外の動向が事実上、FRBの手足を縛ったとの考えを示した。
声明も「最近の世界経済、金融動向は経済活動をやや抑制し、インフレに目先、一段の下向きの圧力を加える可能性がある」と指摘。「指標次第」としていたFRBだが、利上げの決定要因に海外情勢が含まれることを認めた。
また、米国株の最近の下落やドル高が金融市場の環境を既に引き締めており、FRBの行動に関係なく米国の経済成長率を減速させる可能性があると付け加えた。
ただ同時に発表されたFRB当局者の金利見通しでは、17人中13人が年内に1度以上の利上げを見込んでおり、年内利上げのバイアスは維持した。前回6月は15人だった。
一方、少なくとも2016年まで利上げを見送るべきと考える当局者は4人と、前回の2人から増えた。
USAAインベストメンツ(テキサス州)のシニアポートフォリオマネジャー、ジョン・ボンネル氏は「FRBがいつ動くか分かないという、以前と同じ状況にある」と指摘した。
FRBは利上げ決定に当たり、「労働市場がさらに幾分改善」し、インフレが加速するとの「合理的な確信」が持てた際に行うとの方針を再表明した。
金融市場の反応は、ドルが下落。米国株式市場は荒い値動きとなり、下落して取引を終えた。米債券価格は上昇した。
<一段とハト派に>
全体的にみると、国内総生産(GDP)伸び率や失業率、インフレに関するFRBの最新の見通しは、「長期停滞」に対する懸念が政策当局者の頭に定着している可能性を示唆している。
経済見通しでは、今年の成長率が2.1%に上方修正されたが、2016、17年は下方修正された。
失業率は来年4.8%に低下すると見込まれているが、インフレが2%に戻るペースはかなり鈍いと想定している。
長期FF金利の見通しは3.5%と、前回の3.75%から低下した。
マークイットのクリス・ウィリアムソン氏は「長期停滞への懸念が広がる中、成長見通しは引き下げられ、FRBはよりハト派色を強めた」としながらも、「米経済が大崩れしなければ、年内利上げに踏み切るとの強い示唆がある」と述べた。
今回の決定に反対票を投じたのは、米リッチモンド地区連銀のラッカー総裁1人だった。
*内容を追加します。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら