韓国「弾劾」で次期大統領選への攻防スタート 弾劾を審査する憲法裁判所の審理時間が焦点
大統領の職務停止を受けたこの談話を、「非常戒厳」という強権を発動した尹氏が、やっとしおらしい姿を見せた、と見る向きは少ない。与党のみならず、最大野党「共に民主党」の関係者たちも「次期大統領選に向け、右派の結集を呼びかけた」と受け止めている。
与野党関係者らがそう考えるのは、この談話の2日前に尹氏が出した談話のためだ。戒厳令の解除後、自らの任期も含めて判断は与党に一任するとしていた尹氏が態度を一転させ、「弾劾しようが、捜査しようが、堂々と立ち向かう」と開き直った。
与党も「弾劾」織り込み済み
この談話は与党内で2つの動きを加速させた。
1つは与党代表の韓東勲(ハン・ドンフン)氏とその支持グループが、野党提出の弾劾訴追案に賛成する流れだ。尹氏の「非常戒厳」を厳しく批判してきた韓氏らは、12月7日にあった弾劾訴追案の採決には造反せず、不成立に追い込んだ。
だが反省のない尹氏の談話が出た後、これ以上はかばいきれないとの空気が一気に強まった。
もう1つは韓氏を支持するグループ以外の、「親尹」と言われる大統領支持派や中間層の議員らの反応である。
野党勢力は、朴槿恵氏に続き尹氏も罷免されるという不名誉な歴史を残せば、「やはり右派政権には任せられない」との思いを有権者らにアピールできるとして、弾劾で現職大統領を引きずり下ろすことに強いこだわりをみせた。
与党は当然、それを避けたいところだが、開き直る尹氏の態度に、「弾劾可決」を叫んで街頭に繰り出す市民たちの数は増すばかりで、勢いは衰えそうにない。
厳しい状況に包まれる中、親尹派の一部からも、今後の展開を考慮すれば、むしろ弾劾訴追案が可決された方がよいのではないか、との声が漏れ始めた。
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