アメリカの実体経済は先進国では最も堅調で、労働市場も一時の極端な人手不足は解消したものの、平均時給は前年比4.0%上昇、失業率は4.2%とソフトランディングシナリオを裏付けるものである。そしてインフレ率は高止まっている。
日本時間で12月19日朝に公表されるFOMC(アメリカ連邦公開市場委員会)では、すでに市場に織り込まれている0.25%ポイントの利下げは実施されるだろうが、同時に発表されるSEP(経済見通し)で2025年の利下げペースが前回9月見通し(4回の利下げ)に比べて減速する可能性が高い。その場合、ドル高円安が進む可能性もあるだろう。
12月の日銀の判断はFOMCの直後に行われるが、上記のように利上げをしてもおかしくない環境ではあり、もし円安が進行していれば、円安抑止の観点からも正当化できるだろう。
日銀は12月利上げを温存するのが賢明
では、実際に利上げするだろうか。日銀が今回利上げすると、1月20日を境にさらにドル高円安が進んだ場合、市場は「日銀はすでに利上げという武器を12月に使っており、立て続けに利上げはできないだろう」と日銀の「武器」不足を見透かし、円安が加速するリスクがある。
これが現実化するかはわからないが、さりとてこのリスクは無視できない。12月は利上げを「温存」するのが賢明だろう。
為替は金融政策の政策目標ではないし、金融政策で自由にコントロールできるものではない。ただ、現実の政策判断において勘案される(政策反応関数のパラメータである)ことは間違いない。結局「トランプ2.0」の下でドルがどう動くかの見極めが重要になる。
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