金はまだ「買い」!2025年に3000ドル到達も "金利がつかない"のに金の価格が上がるワケ
近年で2023年半ばから直近までの突出した上昇は、短中期のテーマのうち、「有事ムード」と「代替通貨」による影響が大きい。
まずウクライナ戦争が長期化したこと、中東情勢が緊迫化していること、北朝鮮がミサイル実験を続けていることである。これらが有事ムードをかき立て、金相場に強い上昇圧力をかけている。
同時に、利上げ一辺倒だったアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ方針に転換したのを受け、金利ゼロである金の保有妙味が相対的に増しやすくなった。これは代替通貨に起因する上昇圧力だ。
一方で、アメリカ株式市場が高騰する場面が見られるため、「代替資産」の圧力はおおむね収束に向かっている。結果的に有事ムードと代替通貨という2つのテーマによって、突出した金価格の上昇が起こっていると言えるだろう。
中央銀行が買っている事実も大きい
では2000年ごろから始まった、超長期の緩やかな上昇トレンドのテーマとは何か。
当初は「中国やインドの宝飾重要」による影響が大きかった。2000年代前半に発生した新興国の圧倒的な経済成長が、国内の個人の可処分所得を増やし、金を購入する動機を強めていった。
2010年以降は、世界全体の民主主義が行き詰まりを見せたことが一因となり、世界の分断が加速した。これによって、複数の戦争が勃発したり、非西側の資源国による原油などの出し渋り(減産や輸出制限など)が目立って、大規模な高インフレがもたらされたりしたのである。
その結果、「中央銀行」による金の買い数量が売り数量を上回る状態が続いたり、「見えないジレンマ」が大きくなったりした。
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