ベンツ、2635万円「ゲレンデのEV」で感じた別世界 EVの新たなベンチマークとなりうるクオリティ

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一般的でもあまり重さを感じさせず、スイスイ走っていく印象だった(筆者撮影)
一般的でもあまり重さを感じさせず、スイスイ走っていく印象だった(筆者撮影)

力強く、かつスッキリとしてスイスイと走っていく。総じて“速い”のだが、ただ速いだけでなく、コーナーに入っても扱いやすい。ステアリングを大きく切らなくても、アクセル操作で旋回しているのがよくわかるからだ。

一方、ガソリンエンジンのAMG G63は、今回のような走行条件では、潜在能力を生かし切れない。

排気量4.0リッターのV8ツインターボ(最高出力430kW/最大トルク850Nm)は、街乗りでも扱いやすいが、本領を発揮するのは4000rpmを超えてから。そのため、コーナーリングをアクセル操作で曲がるというより、しっかりハンドルを切り込んで曲がるというイメージであり、G580とは大きく違う。

ガソリンエンジンを搭載する「AMG G63」はAMGモデルだけにグリルやバンパー、ホイールが異なる(写真:メルセデス・ベンツ日本)
ガソリンエンジンを搭載する「AMG G63」はAMGモデルだけにグリルやバンパー、ホイールが異なる(写真:メルセデス・ベンツ日本)

このように同じGクラスであっても、オフロードとオンロードそれぞれでBEVのG580の特異性を感じたのである。

次世代BEVの新ベンチマークになりうる

メルセデス・ベンツは2024年2月、それまで掲げてきた「市場環境が整えば、2020年代中に新規発表のモデル100%をBEV化する」という事業目標を「市場環境がまだ整っていない」として事実上、撤回している。

2010年後半からグローバルで広がった、環境・社会・ガバナンスを重視するESG投資によって、いわば“BEVシフトバブル”が起こった。しかし、現在は国や地域におけるBEV関連法案の先行きに不透明感が広がったことで、「BEVシフトは踊り場にある」という意識が自動車産業界全体で一般化しているところだ。

11月上旬時点で、日本国内で発売されているメルセデス・ベンツのBEVであるEQモデルは、「EQA」「EQB」「EQE」「EQE SUV」「EQS」、そして「EQS SUV」の6モデル。

そこに新たに加わったG580 with EQ Technologyは、BEVシフトの“踊り場感”を吹き飛ばすような、次世代BEVにおける自動車産業界の中でのベンチマークだいえる。

価格はG450d Launch Editionが2110万円、AMG G63 Launch Editionが3080万円、そしてG580 with EQ Technology Edition 1が2635万円。ディーゼルモデルとAMGモデルのちょうど中間となる価格も、実に戦略的だ。

【写真】さらにラグジュアリーになったインテリアにも注目!G580 with EQ Technologyの姿を見る(40枚以上)
桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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