元幹部逮捕など激震続き、PTAの最上位団体「日本PTA全国協議会」の闇 文科省が距離を置く?内閣府から勧告もあった
2023年9月、後藤会長から聞いた言葉と現実とのギャップに、言葉が出ない。
金田氏は現在、「事実無根のパワハラ認定により精神的苦痛を受けた」として、日Pを相手に民事訴訟を起こしている。
文部科学省が日Pから距離を置き始めた
2024年8月23日〜24日――神奈川県川崎市で全国大会が開催された。同時期、青羽被告逮捕などのニュースが世間を騒がせていた影響もあったせいか、例年は全国から小・中学校のPTA関係者数千人が参加するのが通例だが、関係者によると、今回は例年より少ない参加人数にとどまったという。
しかし、川崎大会は、認定NPO法人フリースペースたまりば理事長・前川崎市子ども夢パーク所長の西野博之氏による基調講演、大人が楽しく学びあう拠点「トーキョーコーヒー」代表の吉田田タカシ氏による講演をはじめコンテンツは秀逸で、参加したPTA関係者からは「非常に学びになった」という声が多く聞かれた。
金田氏は、日Pの専務理事時代から、実行委員会である川崎市PTA連絡協議会と、「前例踏襲から脱却して新しい形の全国大会にしよう」と準備してきたという。
「参加者全員が1会場に集結して1つのカリキュラムを学んだり、ITを活用して意見交換やワークをしたりなどの取り組みは、全国大会の新しい形として提示できたように思います。川崎市の実行委員会の皆さんの努力をたたえたいですね」
その一方で見えてきたのは、「文部科学省の日Pばなれ」だという。
「これまでの全国大会では、文部科学省の大臣もしくは副大臣が臨席するのが通例でした。しかし今回は、政務三役どころか担当局長も来賓としていらっしゃいませんでした。前代未聞です。ちなみに、同日に茨城県で開催された全国高等学校PTA連合会による全国大会には、当時の阿部副大臣が臨席しています。
さらに、毎年開催し、PTA活動で顕著な業績をあげたPTAや個人の方の表彰を行う年次表彰式は、これまで文部科学省と一緒に開催し、日Pによる表彰と文部科学省による優良PTAの表彰を同日に行っていました。しかし今年度から、文部科学省は単独で別日に行うことになりました。文部科学省は、日Pの一連の騒動を受け、距離を置こうとしているのは明らかです」
内閣府による報告要求、勧告の中身
2024年9月、内閣府公益認定等委員会が、日Pに立ち入り検査を実施。その結果、内閣府は「不適切な状況が確認され、公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力に疑義が生じている」として、行政指導。同年10月、日Pに対し「報告要求」を行った。
関係者によると、「報告要求」の文書には、
・ 事務局及び事務局次長が不在の状態が複数年生じている。
・ 印章管理規程によると、法人印、会長印、代表理事印、銀行印をそれぞれ保有しているように定められているが、現物確認を行ったところ、会長印、代表理事印、銀行印は同一のものだった。
・ 2023年度事業報告を承認する理事会開催が失念のために遅れ、総会までの期間が法定日数に不足している。
・ 役員変更後、2週間以内に変更の登記がされておらず、法定の役員変更届け出書が3カ月以上未提出である。
など、公益法人としての管理・運営能力、日P会館改修工事についての理事会の運営及び役員の認識について計9項目が記され、再発防止策を含めた報告書提出を求めた。当の日PのHPには、
「今回の立ち入り検査は、公益法人認定法に基づき概ね3年に一度行われる定期的な検査であり、運営の違法性を前提とした調査ではないと承知しております」という記載があったが、金田氏は、「私が専務理事のときの立ち入り検査では、軽微なもの数点の指摘のみでした」という。9項目もの報告要求は、公益社団法人としての存続の危機を感じさせる深刻な内容なのではないか。
「指摘事項にもあるように、この行政指導は、完全に現在の日P執行部の運営体制に問題があるがゆえのものです。現在の日Pは、公益社団法人でありながら、定款や一般社団法人法を理解せずに運営されているといっても過言ではありません。法人である以上、『知らなかった』ではすまされず、社会に対して責任を果たす必要があります」
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