元幹部逮捕など激震続き、PTAの最上位団体「日本PTA全国協議会」の闇 文科省が距離を置く?内閣府から勧告もあった

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さらに同月。金田氏がハラスメントを行っていたとみられていた事務職員と事務局長が、逮捕前に出入り禁止になっていたはずの青羽被告を日常的に事務局に出入りさせ、新たに135万円の不正支出を生んだとして懲戒解雇された。

これはいったいどういうことなのか。

2023年9月の後藤会長取材の時点で、日P内部では、青羽被告の背任にうすうす気づいていたのではないか。

同じく9月の取材時に資料として取材陣に配布され、金田氏から事務職員へのハラスメントについての記述も含まれた文書「金田氏解職までの経緯」の内容は、虚偽だったのか。

事の詳細を確かめるべく、金田淳氏に話を聞くと、日Pの「闇」が浮かびあがってきた。「闇」とは「暗躍するOBの存在」と「組織としての自浄作用の欠如」だ。

金田淳(かねだ・あつし)
子どもが通う幼稚園、小・中学校でPTA会長や地域のPTA連合会会長を務め、2018年〜2021年栃木県PTA連合会会長、2020年に日P理事、2021年に同専務理事、2022年から同会長、2023年7月に解任、2024年6月日P理事退任。 2023年から中央教育審議会第12期委員、日本教育会理事。自身のPTA活動におけるモットーは、「自分の子どもに恥じない活動をすること」
(写真:金田氏提供)

金田氏は栃木県PTA連合会の会長、日Pの専務理事を経て2022年度に日Pの会長に就任。これまでの日Pの旧態依然とした体制を刷新したいという思いから、新体制のスタートにあたり「発信力の強化」「情報連絡機関としての役割強化」「PTAを取り巻く課題の検討」「組織の透明化」「PTA会員の皆さまから意見を集約するシステムを構築する」など「改革10か条」を掲げ、所信表明を行った。

「内容としては当たり前のものです。ただ、これまで当たり前のことができていないと思ったので、改めて示しました。これまでの日Pの体質を知っている人からは、『やっとこのように考えるリーダーが出てきてよかったです』と喜ばれました」(金田氏、以下同じ)

一方で、青羽被告は2018年から日Pの理事などを務め、事務局を事実上統括し、不正会計にからんでいたとみられる。

金田氏は、翌年の2023年度も日P会長に再選。2023年6月の総会で、2022年度の赤字が約5000万円計上されたことが報告され、「私自身もずっとおかしいと思っていた日P会館修繕費約2000万円について、徹底的に原因を究明することを約束しました」。

だが、翌7月、金田氏は、事務局職員に対するパワハラを理由に、突然会長職を解職された。金田氏は言う。

「なぜこのような事態になったのか、その理由は明白です。かつて日Pで要職を歴任したOBたちが、いまだに組織に強い影響力を行使しているからです。彼らは『日Pの要職だった』という自負を捨てきれず、名誉や地位にしがみついています。報酬の有無については定かではありませんが、いわゆる“あて職”として、日P引退後も関連協議会や一般社団法人の理事、大学の経営協議会の委員などを務めているだけでなく、現日Pの会長、専務理事、常務理事の人事に口を出し、自分たちに都合のよい人材を送り込もうとしているのです」

さらに、こう続ける。

「私が2022年度の赤字問題を追及しようとした時点で、不正を隠蔽したい青羽被告、改革の風潮を快く思っていないOB、権力を手に入れたい当時副会長だった後藤氏の利害が一致してハラスメントをでっちあげ、解職に追いやったとみています。さらに、事務局が、不正の疑いのある青羽氏を出入りさせ続けていたことでさらなる不正支出を生み、問題を大きくしました。これにより、自浄作用が働かない日Pの現状が露呈されました。図らずも、青羽被告の不正の隠蔽に組織として加担した構図になっているのではないでしょうか」

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