日産低迷、「売れる車がほとんどない」北米の窮地 特需は去り、本来の実力で明暗分かれる局面に

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一方、日産はハイブリッド車を北米に投入できていません。それどころか、新しい車種の投入や主力車種のフルモデルチェンジも遅れています。日産社内でよく言われていることのようですが、「売れる車がほとんどない」状況です。

日産は、カルロス・ゴーン元会長の時代に北米で拡大戦略に走った過去もあり、アメリカ市場では値下げをしないと売れない「安売り」の悪いイメージも残っています。

売れる車がない中で、インセンティブと呼ばれる販売奨励金を積み増しており、それが日産の利益を圧迫している状況です。

コロナ後の「造れば売れる」時期は終わった

――経営陣は北米事業の悪化に気づいていなかったのでしょうか?

気がつくのが遅かった、あるいは、気づいていても引き返せなかったのではないでしょうか。

日産の内田誠社長は、2024年3月に中期経営計画を発表しました。そこで、2026年度までに「全世界で100万台の販売増」という強気な目標を掲げました。ただ、これは当然の話ですが、商品力がないのに、販売台数の高い目標を掲げても売るのは極めて難しい。

ここ数年の業界の様子を振り返ると、コロナ禍の後の半導体不足で、しばらく「車を造れば売れる」という特異な状況が続いていました。ただ、今はこうした問題もおおむね解消し、自動車メーカーの本来の実力が業績の明暗を分けるようになってきました。

先ほど指摘したとおり、アメリカで新車を投入できていない、(安売りで)ブランドは毀損している、目下売れ筋のハイブリッド車もラインナップにない。それなのに100万台の販売増という計画を掲げたのは、経営の判断ミスだろうと思います。

実際、内田社長は「われわれの販売計画がストレッチしすぎたものであることは否定できない」と、11月の決算会見でコメントしています。発表からわずか7カ月で「100万台」目標を実質的に撤回した格好です。

動画内ではこのほかにも、「株価低迷、PBR0.2倍台は東証プライム最低水準」「ホンダ、三菱との『次世代車3社連合』も視界不良」「アクティビストが日産経営陣に『注文』をつけるなら?」などのテーマについて掘り下げています。
編集:田中険人
秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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