「仕事の4割は地域活動」の不動産屋が人気のワケ 「困っている人のお役に立つ」経験で社員教育も

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地域の人たちの「困った」に応えているうちに、大里綜合管理にはさまざまな相談が寄せられるようになりました。不動産の相談などに訪れる人は年間約6000人、レストランやコンサートなど地域活動に関わりのある人たちは年間3万人にのぼります。それぞれの「困った」を拾い、それに「なんとかして応えられないか」「役に立てないか」と取り組んでいるのです。

大里綜合管理には自社や会長の野老さんが所有する物件が20戸ほどあり、大家さんから管理を任されている住宅が約300件あります。これらの物件を活用できないかと考えたこともそのひとつです。

大里綜合管理の所有物件で、住まいの確保に配慮が必要な人たちにも提供しているアパート(画像提供/大里綜合管理)

「グループホームに住んでいた40代の精神障がいのある男性が『自立したい』ということで、その希望に応えるために自社の所有物件に受け入れ、就労継続支援作業所に通うサポートなどをしていました。また、車中泊をしていて辛いという人に貸すこともあります」(笠置さん)

働くところが見つからない人には、自社の仕事を任せることも。

以前、生活保護を受けて、引きこもりのような生活をしていた青年を案じたケースワーカーから相談を受け、青年に草刈りの仕事をお願いすることにしました。結果、青年は引きこもりから脱出し、今や同社のチームリーダーに育っているそうです。

創業当初から大里綜合管理の主業である土地の管理と草刈りの仕事が、働き先がない人の受け皿となることも(画像提供/大里綜合管理)

「不動産屋が“家を借りたい人に貸す”のは当たり前」

入居に配慮が必要な人たちを受け入れることは決して簡単ではないはずです。それでも石井さんは「不動産屋が借りたい人に貸すのは当たり前」だと言います。

「先日は、うちでアパートを紹介して入居した人のゴミの出し方について、近隣に住む人から『ルール通りじゃない』と苦情がありました。そのように苦情を受けることは日常茶飯事です。多様な人が入居しているので、いろいろなことが起こるのは当然。生活への配慮が必要な人でなくても、家賃滞納などは起こります。何かあるたびになんとかするだけです」(石井さん)

大里綜合管理は、2017年の住宅セーフティネット法の改正とともに居住支援法人(※)を指定する制度が始まってすぐに申請手続きを行い、千葉県より指定されました。

野老さんが生活困窮者自立支援法を制定する際の審議員の一人だったこともあり、申請をして千葉県からの指定を受けましたが、居住支援法人になる20年前から地域活動に取り組み、配慮が必要な人たちの住まいのサポートを行っています。

「管理をしている物件の大家さんにはいろいろな方がおり、配慮が必要な人の入居を敬遠する大家さんもいます。

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