新型iPhoneには強烈な武器が仕込まれている 3D Touchをマネすることは容易ではない

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新製品紹介はApple Watchからスタート(写真:Reuters/Beck Diefenbach)

新色追加とエルメスとの協業モデル追加にとどまったApple Watchは、ハードウェア性能に関する大きな変化はない。低価格なアルミケースモデルにゴールド、ローズゴールドが加わり、エラストマーを用いたスポーツバンドに落ち着いた色調が加わったことで、よりカジュアルな層に訴えようとしているようだ。

しかし、それ以外の新製品は、いずれも各カテゴリにおいてアップルに投げかけられている”疑問”を取り払うものだった。

アップルが新しい製品カテゴリとして立ち上げたものの、近年、その成長が止まってしまったのがiPadだ。スマートフォンの大型化と、パソコンの小型・軽量化、タッチパネル対応の合間に挟まれて居場所を失いつつあった。しかし、今回投入するiPad Proにより、新しい立ち位置を見つけることができるかもしれない。 

大型の12.9インチ液晶パネルを採用した新ディスプレイの短辺方向のサイズと解像度は、従来の10.4インチディスプレイを搭載するiPad Airの長辺とピッタリ同じになっている。2732×2048画素の画面を分割して、2つのアプリを同時に表示、操作する機能を取り入れた。

加えて内蔵するプロセッサをA9Xという最新版に強化することで、10時間というバッテリ持続時間を維持しながら高速化を図っている。アップルはこのプロセッサをパソコン並みの速度としており、2画面表示とともに生産性向上のための道具としてiPad Proを訴求する。

そのために軽量かつスタンド機能も備える、マグネットジョイントのキーボード付きカバーを新開発している。キーボードはフルサイズでストロークも充分だが、実は内部にメカニカルなキーストローク構造を持たず、ラミネートしているファブリック素材でキー全体を支え、ストロークとバックスプリングの機能を持らせることで軽量化していた。

マイクロソフトのOfficeがサクサク動く

Officeによる文書作成、グラフの加工などをストレスなく行うことができる(筆者撮影)

発表会にはマイクロソフトのOffice担当者が来場し、実際にiPad Proをオフィス生産性向上ツールがサクサクと動く様子をデモして来場者を驚かせた。ハンズオンコーナーで実際に使ってみても、そのパフォーマンスに不足は感じられない。

これまでのiPadは、クラウド型サービスを使うためのディスプレイやコンテンツを再生するための画面として使われてきたが、一方でパソコン的な生産向上ツールとしては充分な満足を提供できていなかった。アップルは新型MacBookによって、”パソコン”をタブレットに近い手軽さで使えるものにする一方、Macとの競合を恐れずにiPad Proを思い切りパソコンの領域に切り込ませてきたといえる。

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