VAIOの新モデルが「AI特化」よりも優先したこと 新フラッグシップモデルで示した興味深い選択

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成熟したPC市場には使用期間という変化が訪れている。「以前は5〜6年と言われていたPCのライフサイクルが、今では6〜7年という声を多く聞くようになりました」と黒崎氏は指摘する。

この変化は、企業のIT投資の考え方の転換を示している。最新スペックへの追従よりも、長期的な運用コストや安定性を重視する傾向が強まっているのだ。

VAIO SX14-R
VAIO SX14-Rで追加された新色グリーン(筆者撮影)

市場変化の中、信頼性向上を選択

このような市場変化を踏まえ、VAIOは新フラッグシップモデル「VAIO SX14-R」(個人向け)と「VAIO Pro PK-R」(法人向け)の開発で思い切った判断を行った。通常より開発期間を延長し、品質向上のための試作を1回追加し、計4回行った。結果として、マイクソフトが推進する「Copilot+ PC」の要件を満たさない選択となった。

「今回あえて開発期間を延ばしたのは、より長期の耐久性テストや限界試験を行うためです」と黒崎氏は説明する。「6〜7年使われる製品として、信頼性を最優先しました」

ただし、それは最新技術を完全に無視するという意味ではない。新製品には、AI時代に向けてIntelが開発した最新のCore Ultraプロセッサーを採用。NPU(Neural Processing Unit)と呼ばれるAI処理専用チップを搭載し、Windows Studio Effectsなどの機能に対応している。

VAIO SX14-R
VAIO SX14-R(筆者撮影)

そのうえで、実際のビジネスシーンで求められる機能の完成度を徹底的に追求した。3つのマイクを搭載し進化したAIノイズキャンセリングは、背面の声も確実に除去できるようになり、オフィスでのWeb会議での課題を解決。最軽量構成で948gという軽量化と合わせ、場所を選ばない働き方を可能にしている。

AIノイズキャンセルにより、マイクの集音方向を調整する機能を搭載する(筆者撮影)
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