徹底比較!私鉄各社「通勤ライナー」の実力 攻める小田急、京急は朝上り列車を新設

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鉄道事業者のサービス事情に詳しい日本女子大学教授の細川幸一氏は「レッドアローはチケットレスになったのに一部の駅で特急改札を設け、紙の切符または携帯画面の提示を相変わらず求めている。チケットレスサービスの利点を生かす方向で検討してほしい」とサービス改善の必要性を指摘する。

また、停車駅増加や乗車率に応じた特急料金の値下げや、料金体系が独立している池袋線特急と新宿線特急の乗継通算制度の創設などの利便性向上策を実施することで、沿線イメージの向上や乗車人員増・収入増による企業価値向上が可能になるなど、西武に大きなメリットがもたらされると筆者は考える。

朝上りTJライナーの概要とは

一方、特急車両は、平日日中時間帯等の閑散時間帯における車両の活用に課題がある。こうした難点を克服するための一つの答えが、東武鉄道東上本線の「TJライナー」である。使用される50090系はクロスシートとロングシートに使い分けができるマルチシートを搭載し、TJライナーと一般列車で兼用される通勤車両である。東武は伊勢崎線・日光線系統で特急車両による特急列車を運行しているが、東上本線では特急車両ではなく、TJライナーと一般列車の兼用車両50090系の導入を選択した。

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通勤ライナーと一般列車と兼用車両、50090系を活用した東武鉄道のTJライナー

TJライナーは2008年6月14日に運行を開始し、好調な乗車率を背景に、列車本数増加を図るなど段階的に利便性を向上させてきた。『東武鉄道2014年度決算説明会資料』によると、平日の乗車率は平日ほぼ100%という好調ぶりを誇る。

50090系はTJライナー以外に、ロングシート車両として普通から快速急行まで幅広く運用されているほか、TJライナーの運用に就く池袋駅または森林公園研修区への送り込み運用の上り快速急行、急行および普通ではクロスシート車両として運用されている。料金不要でクロスシートを利用できるこれらの列車は、サービス向上に貢献している。

クロスシートとロングシートに使い分けられる

このように、50090系は、TJライナー運行時以外は一般列車として運用されるため、特急車両を保有する場合と比べて、保有車両数を削減できるメリットがある。

TJライナーは、始発の池袋から乗車の場合のみ着席整理券の購入を条件に着席を保証し、途中停車駅からの乗車には料金不要とする列車(座席定員制自由席)であり、現在は夕方・夜下り方面のみ運行されている。2016年春には朝上り方面の運行が計画されている。着席整理券方式とするのか、あるいは指定席方式とするのかについて現在のところ詳細は明らかにされていない。

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