5年で1.7倍!夜間中学が急増、不登校だったのに「学び直し」で通える工夫とは 「形式的に中学卒業」も授業は受けていなかった

鈴木さんは画一的な通常学級の雰囲気についていけず、不登校のまま中学を卒業してしまった。しかし、近隣の相模原に夜間中学ができたことで、一歩を踏み出す決意をした。
「高校に進学することも考えたのですが、学力的にも厳しいと思い、まずは夜間中学で学び直すことにしました。週2、3日登校するところから始め、今は週4日勉強しています。目標は週5日、毎日通うことです」(鈴木さん)
そして、2人はこう口をそろえる。「こういう学校があって、本当にありがたいです。同じように学び直したい人は世の中にたくさんいるんじゃないかな」
本来は通常学級で対応するのが理想
文科省は不登校対策の一環として夜間中学の活用を推進しており、2026年度までに全国12自治体が新たな夜間中学の設置を予定している。
この動きを菅原氏は「新たな学びの場が増えることはよいこと」と歓迎しつつ、「夜間中学を作って終わりになっているところもある。でも、本来は通常学級で対応できることが理想です。夜間を経験した教員が、どのように通常学級に還元できるかが大事ではないか」とも語る。
同校では今年、開校時から在籍した教員の多くが、相模原市や神奈川県内の別の学校などに異動し、夜間中学での経験を広げようとしている。そして、夜間中学の設置を検討している複数の自治体が同校を視察に訪れている。開校3年目の夜間中学から、新たな動きが始まっている。
フリーランスライター・ジャーナリスト
1980年生まれ。東京都出身。毎日新聞学生記者、化学工業日報記者などを経て、2012年からフリーランス。新聞や週刊誌で著名人インタビューを担当するほか、社会、ビジネスなど多分野の記事を執筆。公立高校・中学校で1年2カ月間、社会科教諭(臨時的任用教員)・講師として勤務した経験を持つ。
(写真:中野氏撮影)
執筆:フリーランスライター・ジャーナリスト 中野龍
東洋経済education × ICT編集部
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