一等地に中国車両「国際鉄道見本市」の注目テーマ 「イノトランス」開幕、日立は高速車両を出展

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会場では新技術の発表が行われると前述したとおり、今回も大きなニュースが飛び込んできた。日立は半導体大手メーカーのエヌビディアと連携し、AIなどのデジタル技術を活用した鉄道デジタルプラットフォームを開発し、イノトランス会期中に発表する。車両のメンテナンスコストを最大15%削減できるほか、オーバーホールにおいて交換する部品の量を最大30%削減するなどのメリットがあるという。

日立が展示する高速鉄道車両ETR1000は「フレッチャロッサ(赤い矢)1000」というブランド名を持つ(記者撮影)

再び高速鉄道が主要テーマに?

開催に先立ち23日に行われた記者会見ではイノトランスを運営するメッセベルリンのダーク・ホフマンCOOをはじめ、あいさつに立った関係者たちは口をそろえてAI、デジタル技術、気候変動が鉄道業界に変革をもたらすと発言していた。しかし、会場を見渡して気付いたことがある。

10年前のイノトランスは高速鉄道車両の実物展示が目玉だった。その後、イノトランスのテーマはデジタル技術や環境性能に移り、高速鉄道の展示は減り、実験用車両など営業用途以外の車両展示にとどまっていた。しかし、今回は日立のETR1000、中国中車のシノヴァH2、さらにドイツのシーメンスも改良型の高速車両ヴェラロを展示した。このヴェラロは従来よりも過酷な温度環境下での運行を想定し、気温45度という灼熱の環境でもマイナス25度という極寒の環境でも走行可能という。

欧州鉄道産業連合(UNIFE)でジェネラルディレクターを務めるエノ・ウィーブ氏によると、「欧州委員会は高速鉄道ネットワークの整備に動き出している」という。「インフラ整備は20年、30年という長期的なプロジェクトなので、それに合わせた高速鉄道車両の開発がすぐに始まるということはないが、高速鉄道の需要は今後さらに高まっていく」と断言する。

以上は、今年のイノトランスが打ち出すテーマのほんの一端にすぎない。開幕後は多くのニュースであふれかえるに違いない。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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