日本初「全小中学校に作業療法士」、発達や学習の悩みに寄り添う飛騨市の挑戦 診断がなく相談先がない子たちにも支援が届く

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古川小学校では、学校OTの取り組みが今年で3年目を迎えた。校長の上口淳氏は、学校OTの意義と今後についてこう語る。

「奥津さんには、困り感がある子の支援とともに、周囲の子や教職員がその困り事や支援の必要性を理解できるようなアプローチもしていただいており、これからもそこは絶対に大事にしたいですね。児童や保護者の意見ももっと吸い上げながら対応したいと思います。学校作業療法室のニーズは今後さらに増えるはず。学校OTの方が増えて、よりタイムリーに相談できる体制が実現できればと考えています」(上口氏)

福祉と教育が協力しあうことで学校OTの体制を構築してきた飛騨市。そのために必要なこととして、教員経験がある教育委員会の都竹由梨氏はこう述べる。

都竹由梨(つづく・ゆり)
飛騨市教育委員会 学校教育課 管理指導係長
岐阜県の小中学校で担任や教務主任として計20年勤務。2023年度から現職。生徒指導や不登校、特別支援教育、作業療法士派遣事業等を担当

「支援が必要なお子さんが多い一方、教員や学校は働き方改革を求められています。現場はやることが山積みで日々悩んでいましたが、飛騨市ではこの数年で大きく状況が変化しました。市長の強い思いから始まり、総合福祉課の地道な働きかけを経て実現した学校作業療法室を、今後もとにかく継続していきたいですね。そのためには、子どもや学校にとってどんなメリットがあるか、教員の皆さんが理解してくださっていることが重要です。教育委員会としても学校OTと学校をしっかりとつなぎ、両者に負担がかからないようサポートしていきたいと思っています」

現在、学校OTとして訪問支援を行っているのは奥津氏1人のみだという。人材の育成と確保が目下の課題のようだが、OTという専門家の視点と見立てが生かされる仕組み作りは、子どもはもちろん、保護者や教員にとっても大きな力となるはずだ。

(文:吉田渓、注記のない写真:飛騨市立古川小学校提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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