アメリカ「景気とインフレ」は大統領選でどうなる ハリス氏の経済政策にも強い「ポピュリスト」色

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通常、大統領選では経済が最大の争点となる。1992年大統領選ではクリントン候補の選挙参謀であったジェームズ・カービル氏が「重要なのは経済、愚か者!(THE ECONOMY, STUPID!)」と戦略を選挙対策本部の白板に記載したのが、陣営のキャッチフレーズとして流行った。

だが、2024年大統領選では「重要なのは高揚感、愚か者!(It’s the Vibes, stupid!)」といった言い回しも聞かれる。

9月6日、ノースカロライナ州の不在者投票用紙発送を皮切りに、すでに今月計7州で期日前投票が行われ選挙は始動。このままハリス氏は高揚感の波に乗って勝利することも可能かもしれない。

またハリス氏は国民の目を経済政策ではなく、トランプ氏の性格や刑事裁判、人工妊娠中絶問題などにそらそうとするであろう。

現状の問題を認め、将来の効果に論点すり替え

しかし、9月10日に予定されている大統領候補のテレビ討論会をはじめ、今後、経済政策に焦点があたることは必至だ。バイデン氏ほどではないが、現政権ナンバー2であるハリス氏の経済政策についても国民の信頼はトランプ氏と比べ低い。

前述のABCニュース/ワシントンポスト紙/Ipsosの最新世論調査ではこれら経済・インフレ問題の対応について「ハリス氏ではなくトランプ氏をより信頼する」と答えた国民はいずれも9ポイント上回った。

この逆境を跳ね返すために、ハリス陣営は現状の経済ではなく、各政権の打ち出す経済政策の将来への影響に論点をすり替えようとしている。

バイデン氏は国民に対しアメリカは経済回復を遂げていることを訴えたが、その効果は見られなかった。一方、ハリス氏はバイデノミクスや経済回復をアピールするのではなく、各種経済問題を認めると同時に今後の対策を打ち出すことに焦点をあてている。

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