アメリカ「景気とインフレ」は大統領選でどうなる ハリス氏の経済政策にも強い「ポピュリスト」色

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バイデン政権の経済成果に対する国民の支持が低いことから、ハリス氏は距離を置こうとしている。

だが、同氏の経済政策「カマラノミクス」の大半はバイデン政権時代の政策を継承しているのが実態であり、国民が両者の経済政策を切り離して捉えるかは不明だ。「カマラノミクス」は「バイデノミクス2.0」との指摘もある。

ただし、直近で明らかとなりつつあるカマラノミクスはバイデノミクスと比べ、やや左寄りのポピュリスト政策に舵を切る見通しだ。

8月の民主党全国大会直前、ハリス氏は経済政策の一部を発表した。それは住宅、医薬品、食料品の価格抑制策など選挙の最大争点のインフレ問題に焦点をあて、現政権の「大きな政府」路線をさらに強化した内容だ。激戦州のラストベルト地域で白人労働者階級の票を得なければ勝利は難しいため、その政策はポピュリスト色が強い。

労働者から消費者支援へ、対中関税は維持か

また9月3日、ハリス氏が打ち出した新興小規模事業者に対する税額控除案は、大企業を支援する共和党に民主党が対抗するポピュリスト政策が根底にあるようだ。

なお、バイデン政権の経済政策では製造業の雇用創出といった労働者に焦点をあてていたのに対し、ハリス氏は物価対策といった消費者支援により着目。そのため、トランプ氏が掲げる一律10~20%の追加関税策は消費者負担増の観点から批判的だ。

ただし、対中政策では両候補ともに強硬策を掲げ、現政権が対象を限定し機微技術を保護してきた「小さな庭、高い柵(Small Yard, High Fence)」の”庭”が拡大するのは必至だ。またハリス氏は既存の対中関税などは維持するであろう。

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