出産・教育はタダ「先進国1位の出生率」実現する国 背景に「子育てを負担に感じない」社会システム

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イスラエルでは、女性が45歳になるまでは、現在のパートナーとの間に2人の子どもを得るまでの期間、体外受精の費用が全額、国の保険で賄われ、不妊治療を無料で受けることができます。そのためか、1人当たりの不妊治療回数は世界で最も多くなっています。

不妊や、月経、妊娠、更年期、婦人科系疾患など女性が抱える健康上の課題を、テクノロジーで解決するフェムテック分野の企業がイスラエルには約100社あり、現在も数を増やしています。

フェムテックはFemale(女性)とTechnology(技術)を掛け合わせた造語で、女性の社会進出、活躍を推進するものとして注目されています。

国全体で研究開発を支える

中東最大のイスラエルの国立病院内にフェムテック専門のイノベーションセンターが設置されるなど、国全体で研究開発を支える仕組みがフェムテック企業が多く生まれている背景です。

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イスラエルでは出産に関する制度も充実しており、妊婦検診から出産まで、国が全額費用を負担します。

また、出産前の産休は3カ月半取ることができ、その間、産休前の給与が補償されます。有休を使用すると2カ月半の休暇を取ることができ、無給の休暇を加えて1年間休むこともできます。

ただ会社は、出産による休暇が半年を超えるとポジション確保の義務がなくなるため、多くの女性は半年で復帰するようです。

しかし、スタートアップが盛んなイスラエルは転職しやすい環境にあるため、ゆっくり子どもと時間を共にした後に、新たに職を探す女性もいます。

教育については、小・中学校が義務教育の日本と異なり、イスラエルでは3歳から18歳まで、幼稚園から高校までが義務教育で、公立であれば授業料は無償です。

私立、公立をあわせて幼稚園と保育園の数が多いため、日本のような待機児童問題は存在しません。

子育て世帯では、ベビーシッターを日常的に利用しています。

ベビーシッターは主に高校生のアルバイトなので、安く利用できます。

また、家事代行サービスも頻繁に利用されています。気軽に利用でき、「時間をお金で買う」という価値観が浸透しています。

そのため、保護者は子どもを他人に預けることに抵抗がなく、夫婦だけでディナーに行くことも、子どもを祖父母に預けて海外旅行に出かけることも珍しくありません。

中川 浩一 元外交官、アラビア語の天皇通訳・総理通訳

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なかがわ こういち / Koichi Nakagawa

1969年、京都府生まれ。慶應義塾大学卒業後、1994年外務省入省。1998年〜2001年、在イスラエル日本国大使館、対パレスチナ日本政府代表事務所(ガザ)、PLOアラファト議長の通訳を務める。その後、天皇陛下、総理大臣のアラビア語通訳官(小泉総理、安倍総理〈第1次〉)や在アメリカ合衆国日本国大使館、在エジプト日本国大使館、大臣官房報道課首席事務官などを経て2020年7月、外務省退職。同年8月から国内シンクタンク主席研究員、ビジネスコンサルタント。著書に『総理通訳の外国語勉強法』(講談社)、『プーチンの戦争』『ガザ』(ともに幻冬舎)がある

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