不登校の生徒だけではない、12人に1人が「通信制高校」を選択する本質的な理由 一人ひとりのニーズに合ったサポートが必要

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発展してきた背景には、「生徒や保護者のWants とNeedsを汲み取り、それぞれを切り分けながら事業者が独自の取り組みを行い、経営努力を重ねてきたことが挙げられる」と日野氏。長い時間をかけて草の根的に広がってきたと言います。最近は少なくなってきましたが、中には客商売のようにWantsに迎合し、簡単に卒業できるかのような表現をするところもありました。

サポート校は、塾やフリースクールが設立するケースも多いのですが、今年7月に教育事業大手ベネッセコーポレーションがこの分野に進出し、2025年にBe高等学院を設立すると発表して話題になりました。Be高等学院も、サポート校の1つです。

サポート校の目的は、通信制高校を3年で卒業するための支援を行うことであるため、学習支援のための授業を行ったり、学習計画の相談に乗ったり、精神的なケアをしたりします。

Be高等学院は、進路指導の一環として、「自分のテーマ」を自己決定していく未来発見プログラムを提供し、やりたいことを見つけていくサポートをすると言っています。

一方、日野氏の経営する明蓬館高等学校では、発達上の課題などのスペシャルニーズに対応。本校スクーリングやマイプロをはじめさまざまな観点からの評価を行います。

こうした特徴を打ち出すようになったのは、2007年ごろから。発達障害が疑われる生徒が増加していること、そういう子どもの特性を知ってサポートする必要性を実感したことからでした。2013年に教員のほかに臨床心理士(相談員)や福祉系人材(支援員)がチームとなってサポートに当たるSNEC品川(すねっく:スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)を立ち上げ、以来実績を積み上げてきました。

現在は日本各地にSNECと名の付く学習センターを30カ所開設。開校当初5人だったSNECの生徒数は現在600人。発達に何らかの特性のある子どもたちだそうです。

明蓬館高等学校の福岡本校舎(左)、品川・御殿山SNEC(右上)、横浜・関内SNEC(右下)
(写真:明蓬館高等学校提供)

実際、全日制の学校でも、知力は高いが発達に特性のあるグレーゾーンの生徒が増えていて、中学校の進路指導では特別支援学校を勧められてしまうが、それに納得のいかない保護者や本人が個別のサポートを求めて来るのです。日野氏によると、「勉強したいが一般の学校ではそれが難しい生徒の行き場所がないのが実態だ」と言います。

明蓬館には中等部もあり、最近は小学校低学年の子どもを持つ保護者からの問い合わせも増えているそうです。

教育に科学を持ち込む必要性

SNECでは、特別支援を行う団体や社会福祉法人と連携し、子どもたちの自己理解を促すためのアセスメントを活用。心理テストを実施するなどして、それぞれの特性に合わせた学習支援プログラムを構築します。発達に特性のある子どもは、何かにはまると没頭できる連続耐性を持っている場合があります。そのためには本人が自分で選択し、決定する主体になれるような適切なサポートが必要なのです。

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