トランプ氏「挽回」とハリス氏「熱狂の持続」の条件 党内バランス保つハリス氏の「政策シフト」にリスク

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今日、ハリス氏は2020年に推進していた政策ではなく、バイデン政権が推進してきた、より穏健な政策を自らのものとして主張している。

バイデン氏撤退以降、テレビ局などによるインタビューを避けてきたとも指摘されるハリス氏だが、いずれ対応せざるをえない。その際、ハリス氏は政策シフトについて追及されること必至だ。

また、2020年大統領選での発言の映像が掘り起こされ、トランプ陣営が今後、選挙戦で「極左候補」としてハリス氏に対する攻撃材料に利用することが予想される。

ハリス氏が副大統領候補として指名したティム・ウォルズ氏は、知事として各種左派政策を法制化したことで知られる。ウォルズ氏指名を共和党は歓迎し、民主党の正副大統領候補に「過激な極左コンビ」といったレッテルを貼っている。

そもそも、バイデン氏からハリス氏に大統領候補が変わっても、移民問題やインフレ問題など根底にある国民の懸念は一掃されていない。

8月16日、ハリス氏は食料品の価格統制などインフレ対策を発表したが、エコノミストの間では中長期的に問題を悪化させかねないとの見方も広がっている。バイデン政権が直面しているこれらの問題に国民が再び注目すれば、ハリス氏はメディアから距離を置くことは容易ではない。

ハリス氏が苦心する民主党内のバランス

共和党によるこのような攻撃によって無党派層や党内穏健派の票を失うことを恐れ、ハリス氏はやや中道に歩み寄るかもしれない。だが、それによって現在のカマラメンタムを支える党内リベラル派の信頼を失いかねない。

早期撤退に終わった2020年大統領選でハリス氏は「コパラ(Copala、警察Copとカマラを合わせた造語)」とも呼ばれ、検事時代の厳格な犯罪対策についてリベラル派から批判もあった。

党内で微妙なバランスを取ろうとするハリス氏は、2020年大統領選と同様に、中道派とリベラル派の双方から嫌われかねないリスクをも秘めているのだ。

党内の政策議論を選挙後まで先送りにし、ハリス人気を支える民主党内の熱狂を持続させることができるかが勝敗を分けるであろう。

直近では、ハリス陣営が顧問として2008年大統領選でオバマ当選の立役者であったデビッド・プラフ元選対本部長を迎えるなど、民主党は全力で戦う姿勢を見せている。

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