1台売って4000ドル赤字を出すテスラの苦悩 GAAPでは1台当たり1万4758ドルの赤字
ゼネラルモーターズやフォードモーターなど、旧来の自動車メーカーが2008年から2009年の景気後退によって激減した収益を回復させたときに蓄えていた余裕資金は、テスラの現在の手元資金よりはるかに多い。
倒産後、政府の資金援助を受けて6年前に再建されたGMは、手元資金の目標を200億ドルに設定したが、6月30日の時点でGMの保有していた現金は280億ドル以上になる。
第2四半期には1万1532台を販売
GMの年間販売車両数量が900万台以上であるのに対して、テスラの今年の販売計画が5万台から5万5000台にすぎないことは確かだ。大半の車両を購入者からの受注に基づいて生産しているテスラは、第2四半期に1万1532台の車両を販売し、1台につき約4000ドルに相当する、およそ4700万ドルの営業損失を計上したと発表した。
テスラが抱える失敗が許されないという問題は、100年の実績を誇る競合相手とテスラとのさまざまな相違点の一つにすぎない。
テスラは、今年、上に開く画期的なファルコンウィング・ドアを備えたSUV電気自動車「モデルX」を投入することを主目的として15億ドルの設備投資を計画していると発表した。テスラは今年度の上半期に8億3,100万ドルの設備投資を行ったとしている。つまり、今年中に、あとおよそ7億ドルを投資することになる。
テスラは、第2四半期に営業経費と研究開発費が増大した一方で、売上が低価格モデルにシフトし、海外の売上高がドル高の影響を受けて減少したことにより、電気自動車控除前の連邦税および州税込みで7万ドルを最安モデルとするモデルSシリーズの平均販売価格が1%下落したと発表した。モデルSには、10万6000ドル以上を最高値とする、装備するオプションが異なる数種類のバージョンがある。
テスラは、主要な新車の投入に対する投資を予定していないため、来年は設備投資が減少することを示唆した。テスラは、2017年にモデル3の製品ラインを市場投入する予定だ。テスラによれば、モデル3は最安モデルが3万5000ドルであり、2020年までに年間生産台数50万台を達成するという目標に向けて総売上高を押し上げる力になると言う。
バークレイズのアナリスト、ブライアン・ジョンソンは、テスラの予想に異議を唱え、電池工場の拡充とモデル3の開発に対する投資が増えることから、2016年と2017年には設備投資が増大すると予想していると語り、こう付け加えた。「テスラの投資規模が小さいことは、テスラの期待に反して現金収入が少ないことを物語っている」。
今週、マスクは、テスラが来年末までに10億ドルの現金を確保する予定であると語り、資金調達には「リスク軽減策」としての「ある程度の価値があるかもしれない」とアナリストたちに説明した。