東京地検特捜部、水谷建設元会長を逮捕・急成長の影に政治人脈か

東京地検特捜部は12日、三重県桑名市の大手機械土木系サブコン「水谷建設」(未上場)の水谷功元会長を法人税法違反(脱税)の容疑で逮捕した。架空の土地売却損を計上するなどして所得を隠した疑いで、これまでに同社の経理担当代表取締役・中村重幸容疑者と、取引に協力した建設会社「小尾建設」社長・小尾文男容疑者も同容疑で逮捕されている。
 水谷建設は1998年、福島県内の山林約30万平方メートルを都内の不動産会社から約1億円で購入。しかし購入費用を約8億円と偽った。2003年にこの山林を建設会社に約2000万円で売却したが、これらの取引会社はすべて小尾容疑者が経営しており、架空取引の疑いがもたれている。また、ダミー会社に貸し付けた債務を回収不能として貸倒損失を計上し、所得を圧縮した疑惑も指摘されている。
 これら取引を主導したとされる水谷元会長は、政界とのつながりが深いと指摘されている。同様の所得隠しは2003年にも名古屋国税局に摘発されているが、捻出された裏金が大物保守系議員との関係を噂される元会社役員の会社や、原発関連で強い発言力を持つとされる人物のもとにリベートやコンサルタント料として流れたとされる。
 さらに、同年には「ニチメン」事件に関連した野中広務氏の秘書へ水谷建設の関連会社が資金供与を働きかけた事実が問題となった。さらに、福島県では東京電力・福島第2原子力発電所関連事業などを巡り、佐藤栄佐久福島県知事をも巻き込んだ不明朗な金の流れがこれまでに指摘されている。また、準大手ゼネコン「前田建設工業」<1824.東証>との関わりも深く、地検は両社の関係にも関心を寄せているもようだ。
 自民党を中心に多額の政治献金を重ねた水谷建設に対して、建設業界では、「サブコンが全国展開をするとなると、地元サブコン・ゼネコンとの競争になる。ここでの優位を狙って政界に近づいたのでは」(ゼネコン関係者)との観測が流れている。個人商店から1960年に株式会社化され、一気に売上400億円超、機械土木業界大手の一角に食い込んだ水谷建設だが、成長の過程で数多くの日本の「闇」を巻き込んだのではないか。特捜部の真相究明が待たれる。
【鈴木謙太朗記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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