「火花」が電子書籍でもバカ売れする意味 「キングダム芸人」もその可能性を示した
この番組は木曜23時台からの深夜放送のため、「今すぐ読みたいというユーザーが飛びついたのではないか」(前出の木元さん)。全巻を一気に買い求めるユーザーも少なくなかったようだ。
話題になっている本や雑誌をリアル書店やアマゾンなどの通販で買おうと思っても売り切れていたり、そもそもリアル書店に出向くのが面倒だったり、深夜にはお店が開いていなかったりする。一方、話題になっている本や雑誌ほど早く手に入れて読んでみたい。そんなときに、在庫切れを起こすことがなく、通信環境さえ整っていれば、1冊あたり数十秒から遅くても1分もあればダウンロードで購入できる電子書籍はうってつけだ。スマートフォンやタブレットの普及も背景にある。
筆者も「火花」は、電子書籍で読んだ。紙の本は1600円だが、電子版は1000円。雑誌はさらに安いサービスがある。たとえば、NTTドコモが提供する雑誌読み放題サービス「dマガジン」だ。筆者はdマガジンを利用するようになってから、それまで月に数万円かかっていた雑誌代が、たったの400円になった。しかもコンビニや書店にわざわざ買いに行かなくても、発売直後に読める。立ち読みでヨレヨレになった本を買い求めることもない。
電子書籍は出版全体の1割にも満たないが…
インプレス総合研究所によると、2014年度の電子書籍市場は1266億円と前年度から35%も伸びた。電子雑誌市場は同39%増の145億円とこれも大きく成長しているが、紙の本、雑誌を含めた出版市場全体に占めるシェアは1割にも満たない。ハードルになるのは、著者や出版社などの意向で電子書籍化されていない、できない本もたくさんあることだ。音楽配信と同じで、すべてが電子化されるワケでもない。
ただ、「火花」や「キングダム」などのようなことが続けば、電子書籍の認知度や利用頻度はもっと高まるかもしれない。印刷、配本がない電子書籍はコストや流通などの面では、紙に対して一定の優位性がある。局地的ながらも電子書籍で爆発的な売れ行きを示す事例が出てきたことは、出版を取り巻く市場環境がますます変わっていく可能性を示しているようでもある。
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