「脱ママチャリ」電動自転車がここへ来て人気の訳 10万超でも高性能化、小型化で「1人1台」に?
見た目の変化、高性能化、軽量化。それらが、これまでは電動アシスト自転車を避けていた層に選択肢を提供し、ファン層の拡大をもたらしているのである。
電動アシスト自転車の売り上げは順調に増加
今回話を聞いたあさひの、2024年2月期の総売り上げは約780億円。このうち、電動アシスト自転車は約211億円を占めている。パーツなどをのぞいた「自転車」単体の売り上げとしてはもっとも多く、2025年の目標には、9億円上昇の220億円を掲げている。
この目標を掲げるのが順当と言えるほど、同社の電動アシスト自転車の売り上げは、右肩上がりを続けている。
とはいえ、一般的な自転車が現在2万~5万円程度なのに対して、電動アシスト自転車は少なくとも10万円、高ければ20万円以上する車体もある。昨今の物価上昇の影響を受けた「買い控え」も当然あり、あさひでもメーカー製の高級シリーズの売り上げの伸びは鈍化の傾向にあるそうだ。
だが、あさひは自社で企画から生産、販売までを統合したSPA(垂直統合型のサプライチェーンモデル)の仕組みを導入することで、価格の高騰を抑えている。オリジナルシリーズ『エナシス』は、10万9,000円~12万7,000円(税抜)と比較的リーズナブルで、かつ、厳しい安全テストに合格したものだ。それが選ばれる理由となり、円安下でも売り上げを順調に伸ばしている。
話は、筆者が住む北摂地域に戻る。この地で暮らすひとりとして、「電動アシスト自転車がとても多い地域だ」と以前から感じていたが、あさひによると「全国で最も電動アシスト自転車の売り上げを支える地域」だという。ここまでは予想通りであるものの、「自転車全体に占める電動アシスト自転車の売上比率」が、全国平均の倍の数値だと聞いて、さすがに驚いた。
理由はもちろん坂道の多さだ。普及率は非常に高く、あさひの広報担当・古頭有沙氏は、「車1台+家族に1人1台電動アシスト自転車を所有する家庭がごく一般的だと感じています」と話す。
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