国語力を上げる土台は「思考力」、中学受験で点を取る「読解」のコツと注目テーマ 多様性を問う文章が頻出、押さえたい作者とは

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「内藤ゼミでは、小3から小4あたりで漢字の問題を一気に100題解く機会を設けています。黙々と100題書き切れるのは、20~30人のなかでせいぜい2、3人。この1割の子たちは中学受験をはじめ、高校や大学受験でも非常に優秀な成績を収めているのです」

一方で、集中力が続かず10題解くのも難しい子もいる。一度消しゴムを使うと、そこから消しかすで遊び始めたり、机に置いた鉛筆をいじり始めたりするのだ。

「家庭では、まず30題を集中できるかどうかを試してみるといいでしょう。最後まで鉛筆を置かずに解けたらすばらしいです」と内藤氏。

国語の点数を上げるための「読解問題の解き方」とは

大手塾の国語のテストで点数が取れなかった場合、試験時間に原因があることが多いという。

「大手塾のテストは、実際の入試より時間が短く問題も難しい。現在は入試より10分短い程度ですが、50分の試験を30分で解かせていた時期もありました。しかし時間が足りないからといって、急いで問題文を斜め読みして問いに進むのはおすすめできません。やはり文章はじっくり読み、別のところで時間短縮を図るように心がけてほしいです」

では、論説文と物語文で解き方に違いはあるのだろうか。

「論説文や説明文は、段落の初めや終わりの『まとめ』となる部分、つまり具体語ではなく抽象語が目立つ部分に注目しながら読み進めることが大切です。そして、難しくても飛ばさず問1から順番に解いていきましょう。問題文を順序よく繰り返し読むことになり、理解が深まります」

一方で物語文については、次のように内藤氏はアドバイスする。

心情語
内藤氏の著書『「雨が降ってきたので、カサをさした」が書ければ中学受験は突破できる!』(主婦と生活社、2024年)より、『気持ちを表す言葉の表』を一部抜粋したもの。「明るい感情」の中にも実にさまざまな感情があることがわかる
(画像は主婦と生活社提供)

「物語文は、頭の中で映画のように情景を思い浮かべながら読むとよく理解でき、印象に残ります。気持ちの読み取りは、悪口を言われて怒ったり、ケガした子をかわいそうだと思う心さえあれば、あとは人の気持ちを表す言葉をたくさん覚えれば必ずなんとかなります。

感情が『明るい』か『暗い』かを間違えることはないでしょう。しかし、『暗い』を言い換えるときに、『悲しい』『寂しい』しか知らない子は一定数います。その他のさまざまな表現を親子で確認し、それぞれの感情について具体例などを話してあげてください。語彙が増えて文章が豊かになり、得点につながるでしょう」

注目ワードは「環境問題」と「多様性」

中学入試の国語の問題を見ると、長文化が顕著だ。

「大学・高校入試と同じく中学入試でも、ここ数年で物語文(文学的文章)や論説文(説明的文章)の文字数が大幅に増えています。これまでは3000~4000字が標準でしたが、直近では7000~8000字の文章を出す学校がかなり出てきています。小学生が時間内に解き切るのは至難の業ですから、前述の忍耐力と持続力がより大事になってきます」

長文化対策として内藤氏は、「やはり日頃から読書の習慣を身につけておきたい」と話す。具体的にどんな本を手に取るべきか、推薦図書を教えてもらった。

「文学的文章を選ぶ際、特に小4までは名作と言われる定番の作品に触れてほしいと思います。芥川龍之介は現代の子どもたちにも人気ですし、星新一は本が嫌いな子にも喜ばれます。また、斉藤洋の『ルドルフとイッパイアッテナ』や壺井栄の『二十四の瞳』は、相手を気遣う心、相手の立場を思う心など、やさしい心を育むのにぴったりの作品です」

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